お金をかけない健康法
コロナ第6波は、介護施設・医療機関でのクラスターが目立ち、実に大変でした。
近隣の特養ホームでは2月、入居者さんの9割と職員の5割が感染。通常業務の維持は困難になり、野戦病院さながらの厳しさでした。多床室で隔離が難しいことも、感染拡大の背景にありました。
先日、この施設の管理者のみなさんからお話を聞きました。臨時の特別体制を組んで、半分のスタッフで業務を回したそうです。
すべての業務を簡素化し、入浴支援は停止。介護サービスを薄くせざるを得ませんでした。幸い、陽性者が陽性者を介護する「陽陽介護」には至らず、職員のメンタル障害も起きていないとのことでした。
医療機関でのクラスターも深刻でした。ある慢性期病棟では4月、患者さんの3割と職員の3割が感染。血液透析が必要な患者さんの3割が感染する大変な事態でした。
職員は防護具で感染対策を徹底。入院を制限し、入浴介助停止など患者さんの入院生活にも影響が及びました。透析室は個別にビニール隔離となり、転院できない患者さんのコロナ治療にも取り組みました。
収束して平常業務に復帰するまで約1カ月。暴風雨のようなクラスターの中、スタッフ一同しっかりと協力して乗り切りました。現在は精神科医や臨床心理士の援助のもと、スタッフの振り返りに取り組んでいます。
コロナ禍が始まって約2年半。介護・医療現場の職員が団結してがんばってきたことは、ご承知の通りです。さらに感染拡大を止める先手対策や管理指導、職員のメンタルヘルス対策なども相まって、みんなで危機を乗り越えてきました。コロナ感染の予防と対策・治療の経験と教訓を蓄積しながら、次のウイズコロナへ向けて現場はしっかりと歩んでいます。
大場敏明
おおば・としあき
1946年、新潟県生まれ。千葉大学医学部卒、内科医。船橋二和病院、東葛病院、みさと協立病院などを経て、クリニックふれあい早稲田(埼玉県三郷市)院長。著書に『ともに歩む認知症医療とケア』(現代書林)、『ドクター大場の未病対策Q&A』(幻冬舎)、『かかりつけ医による「もの忘れ外来」のすすめ』(現代書林)
いつでも元気 2022.7 No.368
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