ハーフタイム
増田剛(全日本民医連会長)
3月8日はなんの日?
2015年3月8日、私は民医連の第5回医療視察ツアーでキューバにいました。朝、バスに集合すると「女性の皆さんおめでとうございます。今日は国際女性デーです」と、ガイドの女性が誇らしく挨拶。そのような日の存在は知っていたものの、それがこの日であることに気付かず、恥ずかしい思いをしました。
ジェンダーギャップ指数が世界156カ国中120位と、男女の格差が大きい日本で暮らしてきたとはいえ、人権を何よりも重視している民医連の役員がこのザマですから本当に情けない限り。大いに反省し、その後はこの日を特別に意識するようになりました。
コロナ禍でどの国も大変だった2021年。国際女性デーの各国リーダーの発言です。
ドイツ・メルケル首相(当時)「女性が社会を動かす大きな役割を果たしながら、政治的、経済的、社会的決定に平等に関与していない」「女性は男性と同じだけの収入を得なければならない」。
韓国・文在寅大統領(当時)「コロナの困難の中でも女性たちは危機克服の支えになった。深く感謝申し上げる」「各分野で女性が同等の権利を持ち、指導者の役割を担うことができる世の中を作る」。
なかなか立派な発言です。日本にもこんなリーダーがほしいと思っていたら、今年の3月8日、岸田首相がこんな発言をしました。
「ジェンダーギャップ指数が世界第120位であることに表れているように、諸外国に比べて大変立ち遅れている。背景には男女間の賃金格差や固定的な性別役割意識など、構造的な問題がある」と言ったのです。
岸田首相はさらに「男女間の賃金格差の是正に向けた企業の情報開示ルールの見直し」にも言及。女性が経済的に自立できる環境を整えることを約束したのです。私はこのことは率直に評価したいと思います。「賃金格差の見える化」は、長年自民党政権が無視し続けてきたものだからです。
男女の賃金格差是正はジェンダー平等への重要な一歩。欧州に影響されて官邸内の認識が変わったとの報道もあり、関係者の粘り強い運動の成果として喜びたいと思います。ただ、選択的夫婦別姓制度さえ認めない自民党ですから、国民の厳重な監視と夏の参院選での争点化が必要です。
民医連の45期運動方針は、あらゆる場面でジェンダー平等を貫くことを掲げました。まずは足元から、が大事ですね。来年の国際女性デーでは、1年間の実践を報告できるように頑張らないと。
いつでも元気 2022.6 No.367