お金をかけない健康法
2~3月はオミクロン株の大流行で高齢者施設のクラスターが際立ちました。コロナ第6波がピークを迎え、高齢者の死亡も急増のなか、困難な事態に陥っている介護現場。各紙の報道と身近な施設での苦労を紹介します。
高齢者施設で療養限界(2月24日・読売新聞)。東京都内の高齢者施設で療養中の感染者の死亡例が増え、2月23日時点で35人が死亡。関係者は病床の逼迫による「施設内療養」の限界を指摘。
「陽陽介護」窮余の策(2月9日・朝日新聞)。陽性の職員が陽性の利用者を介護する「陽陽介護」が介護現場で起きている。急激な感染拡大で人手不足だが、「介護施設は休業できない」と沖縄のグループホーム経営者。この施設では利用者9人中8人、職員12人中9人が陽性に。
接種遅れで施設クラスター(3月1日・埼玉新聞)。高齢者施設のクラスター発生が後を絶たず、約1カ月前の7倍に急増。施設の介護職員は、入院できない入所者の容体急変や自身の感染という二重のリスクに直面し疲弊している。厚労省によると、クラスター発生件数は2月14日からの1週間で437件と約1カ月前の7倍に。昨夏の第5波最多数の10倍にも。
近隣の施設からも報告が相次ぎました。
老人ホーム 職員4人と入居者23人中20人が陽性に。死亡者も出て、早い感染力で勤務態勢が大変に。グループホーム 入居者9人中8人が陽性。3人が発熱38℃以上で救急搬送され入院。特養 職員12人、入居者54人中50人が陽性に。死亡者2人。「一時は投げ出したくなる気分に襲われた」と責任者。
現場の困難が、うめき声のように聞こえます。3回目のワクチン接種をもっと早くできれば、状況が違っていたのではと悔やまれます。
大場敏明
おおば・としあき
1946年、新潟県生まれ。千葉大学医学部卒、内科医。船橋二和病院、東葛病院、みさと協立病院などを経て、クリニックふれあい早稲田(埼玉県三郷市)院長。著書に『ともに歩む認知症医療とケア』(現代書林)、『ドクター大場の未病対策Q&A』(幻冬舎)、『かかりつけ医による「もの忘れ外来」のすすめ』(現代書林)
いつでも元気 2022.5 No.366
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