お金をかけない健康法
「新型コロナの第6波はピークアウト(頭打ち)しましたか」。ある外来患者さんからの質問です。私は「現在第6波のピークが近づきつつあるが、このまま落ち着くかは即断できない」という専門家の見解を紹介。「特に高齢者の死亡者数が最悪で、感染をいかに抑えるかが重要です。ピークアウトとの楽観論は誤っています」とお伝えしました。
「救急医療や保健所機能の逼迫も心配ですね」との意見も。たとえ軽症でもコロナに感染すると医療・介護・保育などのエッセンシャルワーカーの欠勤者が増加し、医療・介護現場などへの影響も深刻です。
発熱外来の受診が急増する一方で、救急搬送困難事例は週に5000件を超え、第5波(昨夏)を上回る状況です。また高齢者施設などでクラスター(集団感染)が多数発生しており、ハイリスク集団の感染が危機的です。
「3回目のワクチン接種は大丈夫ですか」との質問も増えています。現状では3回目の接種率が12・6%と大変遅れています。「2回目接種の8カ月後」という当初の政府方針が混乱のもとでした。6カ月過ぎには免疫が低下します。3回目接種の加速化が重要です。前回と違うメーカーのワクチン接種については、特に問題はありません。
やはり大切なのは、一人一人の基本的な感染対策の徹底です。これまで通り、マスク着用、手洗い、3密(密閉・密集・密接)回避などをしっかりと続けましょう。マスクを鼻にすき間なくフィットさせ、しっかりと着用すること。マスクは品質の確かな、できれば不織布を使用してください。
2年以上続くコロナ禍。先が見えない状況ですが、明けない夜はありません。ワクチン接種の促進と基本的な感染対策の再徹底など、政府・自治体の政策推進と我々一人一人の努力でコロナ禍を克服しましょう。
大場敏明
おおば・としあき
1946年、新潟県生まれ。千葉大学医学部卒、内科医。船橋二和病院、東葛病院、みさと協立病院などを経て、クリニックふれあい早稲田(埼玉県三郷市)院長。著書に『ともに歩む認知症医療とケア』(現代書林)、『ドクター大場の未病対策Q&A』(幻冬舎)、『かかりつけ医による「もの忘れ外来」のすすめ』(現代書林)
いつでも元気 2022.4 No.365
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