青の森 緑の海
ここ最近、沖縄の自然で課題となっているのが「外来種」である。一番の脅威が植物のツルヒヨドリ。中南米原産で急速に広がり、今や畑の作物をも覆っている。
また、黄色い小花が可愛らしい南米原産のアメリカハマグルマは繁殖力がすさまじく、国際自然保護連合から「世界の侵略的外来種ワースト100」に選ばれている。
外来種といえばアメリカザリガニやブラックバス、河原に広がるセイタカアワダチソウなどが知られる。南西諸島に移入されたマングースは、ヤンバルクイナやトゲネズミなど在来生物を食べてしまうことで駆除され、最近では沖縄から姿を消しつつある。
「侵略的外来種」とは、「在来生物を絶滅させる可能性があるもの」である。だがその駆除となると線引きが難しい。たとえば僕たちが日々口にする野菜のように、人間生活に深く入りこんでいるものもある。人間という生物そのものも、世界中に生息地を広げた外来種だといえる。
沖縄は歴史的に中国や台湾との交流が深く、外来種が多い。南国気分を盛りあげるハイビスカスは中国原産、県花となっているデイゴもインド原産だという。
1月から3月にかけて観光客を楽しませるヒカンザクラも、台湾・中国が原産だ。岩の上に根をはる満開の桜に惹きつけられた。岩に支えられているのか、岩を押しのけているのか。台風で倒れてしまう可能性もあるが、その姿は本来の居場所を離れて暮らす彼らの立場そのものを伝えているような気がした。
【今泉真也/写真家】
1970年神奈川生まれ。中学の時、顔見知りのホームレス男性が同じ中学生に殺害されたことから「子どもにとっての自然の必要性」について考えるようになる。沖縄国際大学で沖縄戦聞き取り調査などを専攻後、一貫して沖縄と琉球弧から人と自然のいのちについて撮影を続ける。2020年には写真集『神人の祝う森』を発表。人間と自然のルーツを深く見つめた内容は高い評価を受けている。
いつでも元気 2022.2 No.363
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