お金をかけない健康法
お正月には乾杯が多くなりますね。寒いので「熱燗もう1本」なんて、調子に乗る方も…。でも、お酒と上手に付き合わないと飲み過ぎます。そして「飲み過ぎは万病のもと」とは、約700年前の鎌倉時代の歌人・吉田兼好も言っています。※1 「お酒を飲み過ぎて困る」という悩みは、鎌倉時代の人にとっても切実だったのでしょう。
多量飲酒の害は、アルコール中毒、肝障害(最悪の場合、肝硬変から肝がん)、膵炎、痔疾、高血圧・糖尿病・心臓病などの悪化、脳卒中誘発に及びます。実に多数の病気につながるのです。まさに「飲み過ぎは万病のもと」ですね。※2 節酒・禁酒はお酒代を減らして治療費も節約できる、お金をかけないすぐれた健康法です。
しかしお酒大好きの人たちからは、「古来“酒は百薬の長”と褒められているヨ!」と反論されます。確かにこの言葉は2千年前から言われていることで、中国の『漢書』に記述があります。※3 これは現代にも通用するものでしょうか?
当然ですが「節度ある適度な飲酒」が前提条件です。厚生労働省によると、男性は1日当たり純アルコール10~19g、女性は1日当たり9gが最も死亡率が低いとのことです。適量のアルコール摂取は体に一定程度良いとのデータですが、それを超えるとアルコール量の増加に伴い死亡率が上昇します。
適量の目安を覚えておきましょう。例えば純アルコール約20g程度とは、ビールなら中瓶1本のこと。※4 さらに「お酒を飲む前に軽食をとる」「休肝日を週2日もうける」など、飲み過ぎを防ぐポイントも心に留めておいてください。※5
近年は研究も進み、飲めない体質の方がかなりいることも分かってきました。日本人の約4割はお酒に弱い体質(アルコール分解酵素が少ない)であり、無理な飲酒は避けるべきです。また、習慣飲酒(毎日飲まずにはいられない依存状態)の方に対しては、飲酒依存症の治療=禁酒が優先です。
※1 随筆『徒然草』には、『漢書』の言葉を受けて「百薬の長とはいへど、万の病は酒よりこそ起れ」とある
※2 ほかにも肥満やうつ、記憶障害、認知症、脂肪肝、心筋症、がん、肺炎、結核、HIVの悪化など
※3 酒は緊張をほぐしたり気分を良くしたりするので、適度に飲む酒は薬にも勝るとした。『漢書』は中国の前漢の正史で、西暦80年頃に成立
※4 厚生労働省「健康日本21」から。ビール(度数5%)中瓶1本=純アルコール20g/清酒(度数 15%)1合=22g/焼酎(度数 35%)1合=50g/ワイン(度数 12%)1杯=12g
※5 飲み過ぎを防ぐポイントとして「お酒を飲む前に軽食をとる」「水で割って薄めたり、合間に水やソフトドリンクを飲む」「飲む時間や量の上限を決める」「小さめの器でゆっくり飲む」「ひと口飲むごとに、器をテーブルにおく」「毎日の飲酒は避ける(休肝日を週2日もうける)」などが一般的に推奨されている
いつでも元気 2021.1 No.350
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