心をつづって
おこられたけど
おもしろかった
四年生から宿泊学習がある。楽しみにしている子どもが多いが、宿泊施設のスタッフに任せることはほとんどなく、早朝から深夜まで引率教員の負担は大きい(夜尿症の児童を起こさなければならないことも)。
それでも学校では得られない経験ができることは、学生時代に小中学生とキャンプを楽しんでいたことがこの仕事に就くきっかけになった私には魅力だ。
宿泊学習から帰ってきて、児童が書いた作文を紹介する。
はずかしかったフルチン みきと
ぼくは山の家で、最初のお風呂に入りました。そのとき中村先生がきて、「何入っとんねん。」と言われました。そういえば集まった時、とくまーるが、「お風呂に集まって、先生がいいといってから入り。」と言われました。
それで五分ぐらい、中村先生に十人ぐらい、ずっとすっぱだかフルチンでおこられました。途中、中村先生のメガネがくもってきておもしろかったです。はだかの時、とっても寒かったです。 特に前だった吉岡さん(としや)は、めちゃくちゃはずかしそうだったです。
山の家の初風呂は、とってもはずかしかったです。
おこられたおふろ としや
ぼくは一日目、お風呂に入る時間になってお風呂のところにいった。たこやき(ニックネーム)がいて、「お風呂に入っていいの」って聞いたら、「いいんちゃう」と言ったので、ぼくとたこやきが入った。
いっぱい入ってきて、泳いでたりしていると、中村先生がきてフルチンでおこられました。五、六人ぐらいでおこられました。中村先生のメガネがくもっていました。メガネをふかはったけど、またくもりました。
ぼくはフルチンで、一番前に立っていました。おこられたけど、みんなで笑いました。おこられたけど、おもしろかったです。
二日目の夜は、入っていいと、とくまーるに聞いて入りました。小浴場です。五人で入っていました。昨日のことを思いだして、またみんなで笑っていました。おもしろかったです。
中村先生は、子どもの気持ちの分かるいい先生だ。この作文を一枚文集にして読み合った時も、笑って読んでくれた。みきとは教室のムードメーカー。実によく動くしよくしゃべる。としやは転入生。前の学校からは「学級の荒れの中心」との連絡があった。日記や作文を大笑いして読んで、子どもたちはゆるやかにつながっていく。
得丸浩一(とくまる・こういち)
1957年生まれ。京都市の小学校教師。京都市教職員組合執行委員長、日本作文の会副委員長。
著書に『おもしろいけど 疲れる日々』(本の泉社)
いつでも元気 2020.5 No.343