民医連事業所のある風景 大分健生病院/医療生協子育て・療育支援センター「きらり」 切れ目ない医療・介護、療育支援・育児支援で地域を支える
多くの南蛮文化や西洋医学がいち早く取り入れられた歴史
大分市は九州の東端、瀬戸内海の西端に位置し、周辺部を野生ニホンザルで有名な高崎山など多くの山々が連なり、市域の半分を森林が占める人口約47万人の中核都市です。
大分市中心部は明治時代の初期までは府内という国府であり、戦国時代(1500年代)中期、キリシタン大名であった大友宗麟の時代にはヨーロッパ諸国との南蛮文化で大いに繁栄しました。フランシスコ・ザビエルによるキリスト教の布教、日本で初めて西洋音楽の演奏や西洋演劇の公演、ポルトガル人医師ルイス・デ・アルメイダによる西洋医学の導入と日本初の病院開院など、当時の多くのヨーロッパの先進的な文化や医学が取り入れられました。
無差別・平等の地域包括ケアを実践するとりくみ
大分県医療生協では、地域包括ケアシステムを推進するために5つの課題別プロジェクトを設置しています。
「こども支援プロジェクト」では、子どもと親のすこやかな成長とくらしを支援。子ども医療費無料化の運動、無料低額診療の案内、子ども食堂、無料塾での学習支援、事業としての小児療育。「おいしく食べるプロジェクト」では、地域まるごと健康づくりを目的として施設・介護事業所を招いた学習会の開催と地域で開催されるサロンへの職員派遣。「助け合いプロジェクト」では、地域住民から「くらしの相談」に対応できるしくみづくり。「認知症プロジェクト」では、認知症の方や家族を地域全体で見守る活動。「総合支援事業対策プロジェクト」では、総合事業に対応した事業を行うとともに事業計画の検討を行っています。
行政とともに子どもの発達支援と保護者の育児支援
大分健生病院の小児科では、年間約700件の相談や発達診断を行い、発達の遅れが診断された子どもについてリハビリを実施。また法人内の医療生協子育て・療育支援センター「きらり」で集団のなかで生活する力をつけるなど、子育て支援や相談を行っています。
2019年には、大分市から「施設支援事業」「外来療育指導事業」の委託を受けました。
「施設支援事業」では、心理士・保育士・セラピストが学校・保育園に訪問。教師・保育士と発達障がい児のサポートについて相談活動を行います。また「外来療育指導事業」では、診断待ちが半年以上となっている待機乳幼児を対象に親子の関係づくりの支援や相談を行っています。
大分市内の中核病院として地域医療を支える
~第5次長期計画の実践
1981年に開設した大分健生病院は、2001年の本館増築、2015年の新館建設に引き続き2016年に本館改修工事を終了しました。
近隣(10・圏内)に24病院(4301床)がひしめき、病病・病診・介護施設・在宅などとの地域連携体制がすすめられるなか、急性期病棟(45床)・地域包括ケア病床を主とした慢性期病棟(46床)・回復期リハビリテーション病棟(39床)の合計130床の大分市内の中核病院として、またけんせいホームケアクリニックと合わせ約500件の在宅患者管理を行い、地域医療を支えています。
2019年、法人総代会で提案した第5次長期計画では大分健生病院のポジショニングについて「患者・利用者・医療生協組合員のライフステージに合わせた『切れ目のない』医療と介護サービスを提供する『かかりつけ医』機能と在宅や地域の医療機関との架け橋としての機能を発揮する」ことを確認しました。
法人全体で医療・介護・福祉事業の発展とともに、無差別・平等の地域包括ケアの推進を目標に長期計画を実践していきます。
(大分県民主医療機関連合会 大分健生病院/医療生協子育て・療育支援センター「きらり」 事務局次長 狭間田 敏治)