昔ばなし苦労話自慢話
「お母ちゃん、痛いよ」
出雲市民病院◎鈴木正典
班会や公民館のサロンに集まると、昔話や苦労話、自慢話に花が咲きます。誰しも「若い頃の苦労を知ってほしい」「昔とった杵柄を自慢したい」という欲求があります。想い出を他人と共有することで自身の人生を肯定的に捉え、それが生きる力になります。
直近のことは忘れても、体に染み込んだ記憶は消えません。人生の後半はこの長期記憶が財産になります。話す努力をすれば脳が活性化します。聴き上手になるとお友達がたくさんできます。
一度聞いたことでも、「耳にタコができた」などとおっしゃらず、上手に話をつなぎましょう。同じ話を繰り返すのは、そこに深いワケがあるからです。
班会でも使える回想法
私は病院勤務の傍ら、全国で「回想法」の講演をしています。回想法は昔の写真や道具、歌などを手がかりにして、心の奥にしまっておいた大切な想い出を語り、生きる喜びを感じる技法です。認知症予防になり、また、認知症の人と豊かなコミュニケーションを図ることもできます。介護や看護の現場で活用でき班会でも使えます。
写真を見てください。バリカンで散髪する親子の表情がなんとも言えませんね。どんな会話が交わされているのか、想像してみてください。これから連載で回想法やサロン運営のコツを紹介しましょう。読者の皆様からトッテオキのお話や感想もお待ちしています。
鈴木正典
島根・出雲市民病院麻酔科医。1947年、福井県生まれ。鳥取大学医学部卒。著書に『認知症予防のための回想法』(日本看護協会出版会)、『想い出かたり』(かもがわ出版)など
いつでも元気 2018.4 No.318
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