映画トランプのアメリカ
バクレー監督、松元ヒロ初主演の最新作を語る
文・井口誠二(編集部)
在日米軍への思いやり予算※の矛盾に迫ったドキュメンタリー映画「ザ・思いやり」シリーズの監督、リラン・バクレーさん。
今春公開予定の最新作「トランプのアメリカ~希望と勇気を探す旅~(仮題)」について聞きました。
最初にお伝えしますが、今作は「ザ・思いやり」シリーズの続編ではありません。コメディアンの松元ヒロさんとアメリカを旅したドキュメンタリーで、在日米軍はいくら待っても出てきません(笑い)。
トランプ大統領就任のニュースを見て、「今のアメリカはどうなっているんだ。直接見に行かなきゃ」と思い、ヒロさんに声を掛けてアメリカに飛びました。現地では社会活動を続ける個人や団体にインタビューしたり、ホワイトハウス前に行ったりしました。
※在日米軍駐留経費として、日本政府が負担している費用。娯楽施設を含めた基地建設費や水道光熱費、土地の使用料などあらゆる経費が含まれる。2014年度には8911億円が使われた。
それでも夢をあきらめない
映画のワンシーンから、黒人社会活動家のネッファ・フリーマンさんとビバリー・スミスさんと一緒に、リンカーン記念堂に行った時の話を紹介しましょう。
スミスさんの息子は、何もしていないのに警官に暴行され殺されました。しかも、警官は起訴すらされていません。彼女は息子の訃報を聞いてすぐ活動家になったといいます。
リンカーンは「奴隷を解放した大統領」としてご存じですよね? けれど、フリーマンさんはこう言います。
「彼は確かに奴隷を解放しました、自由にしました。けれど、平等にはしなかったのです」。この言葉に、私もヒロさんも胸を打たれました。
リンカーンが奴隷解放を宣言した100年後の1963年、キング牧師が有名な「I have a dream」の演説をしています。奴隷解放から100年たっても、アメリカは人種差別の国でした。さらに50年以上過ぎた今も、スミスさんのような悲劇が繰り返されています。
トランプが大統領になってから、移民排斥や人種差別がクローズアップされています。でも実は、これらの問題はずっとアメリカにあったんです。
ヒロさんは言いました。「それでも、キング牧師が語ったように夢を持ち続けることが必要なんだ。そのために、僕たちは笑って手を結ばなきゃ」。
アメリカの社会活動も日本の基地反対運動と同じように、なかなか“勝利”が見えません。それでも、より良い明日を夢見て、ジョークと笑顔を忘れず活動を続けている人たちがいる。それを日本で頑張っている人たちにも伝えたいのです。
これ以上話すと、映画を観てくれなくなってしまうので(笑い)。映画では多くの人たちに活動を届ける工夫やその原動力も、笑いを交えて紹介しています。ぜひ多くの人に観てほしいと思います。
面白くなければ伝わらない
僕の映画は面白さ、笑いを大切にしています。だから今回の映画は、コメディアンである松元ヒロさんを中心に撮影しました。
作った映画は問題意識の強い一部の人たちだけでなく、あまり考えたことがない大多数の人たちに届けたい。そのためには、面白くなきゃダメ。「この映画、面白い」って聞けば観たくなるでしょう?
もう1つ。映画に限らず、最初に「こうだ!」って結論ありきで始めると、大多数の人たちは引いちゃう。中身でメッセージを伝えるのは良いけど、切り口が大事なんです。
平和の音楽として有名なジョン・レノンの「Imagine」も良い音楽だからこそ、多くの人に聴かれている。聴き込む中でメッセージが伝わって、いろんなことを考えるんです。
「トランプのアメリカ ~希望と勇気を探す旅~(仮題)」
リラン・バクレー監督がお笑い芸人の松元ヒロを道連れに、「トランプランド」を旅するドキュメンタリー。共和党や民主党支持者、退役軍人、黒人活動家との交流や、全米ライフル協会訪問など内容盛り沢山!
※製作費のカンパを募集しています。
個人1万円、団体3万円以上で本編にお名前を掲載。5万円以上で+特典DVDなど。詳細はお問い合わせください。
振込先:郵便振替口座00220‐4‐86274
加入者名 映画「希望と勇気の旅」を応援する会
■公式ホームページ:https://americanotabiblog.wordpress.com/
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いつでも元気 2018.2 No.316