安心して住み続けられるまちづくり・京都
お達者度チェックやってます
文・宮武真希(編集部) 写真・豆塚 猛
信和会(京都市左京区・東山区・山科区)では昨年から、地域のシニア向けに無料で体力や認知機能を計測する「お達者度チェック」を実施。「健康で長生きしたい」という住民の願いにこたえようと、専門性を生かしたサポートをしています。
9月12日、京都民医連あすかい診療所1階の「あすかいホッとスペース」に21人が集まりました。
まず始めは「1人で外出していますか」「自分で電話番号を調べて電話をかけることをしていますか」など、問診票に「はい」「いいえ」で記入。続いて、身長や体重、血圧、握力、血中酸素濃度を測定します。その結果を小林充理事長(医師)が確認しながら、服用中の薬や体調などを聞き取ります。
続いて、佐々木晃さん(京都民医連第二中央病院健診課)が、「寝たきりや認知症、転倒の危険性についての検査をします。ご自身の今の状態を把握してもらうことが目的ですので、みなさん無理だけはしないでくださいね。転んでケガをしたら、それこそ本末転倒ですよ」とジョークを交え、参加者にチェックの内容を説明します。
検査は体力テストと認知機能テストを実施(表)。体力テストの結果を見せ合い、「あんたすごいな。私はこんなんやったわ」「毎日柔軟体操を続けてるからなぁ」と声を掛け合う場面も。認知機能テストと合わせて、1時間半ほどでチェックは終了しました。
自身の状態を知るきっかけに
検査後には、作業療法士の宮嵜隆之さんが「お達者度プチ講座」と題して、認知症についての話を。
「普通に生活できていたら、ある日突然認知症になることはありません。それに認知症は予防できますよ」と説明し、脳を元気にする体操を紹介しました。高川洋子さん(72歳)は「話を聞いて安心しました。母が認知症なので、とても気になっていたんです。今日、参加してよかったわ。年に1回このチェックを受けて、自分の状態を知るきっかけにしようと思います」と、ホッとした表情を見せました。
認知症への不安に応えて
お達者度チェックは、法人の「おたっしゃ健診プロジェクト」(小林理事長、健診課、リハビリテーション部、組織課、事務)が運営しています。計測などのサポートには、医師・看護師・保健師・ソーシャルワーカー・理学療法士・作業療法士・放射線技師・事務や友の会員が関わります。
始めたきっかけは、「地域のみなさんは、認知症への不安を強く感じているのではないか」との問題意識でした。2年前にプロジェクトを立ち上げ、「お達者健診」という名称で開始しましたが、「健診というと敷居が高く感じるのでは」と、「お達者度チェック」に名称を変更。患者さんや友の会員、地域住民に幅広く呼びかけ、のべ220人以上が参加。法人内の診療所や、友の会の班会にも出張して実施しています。
専門性を生かして地域を担う
チェック後は、小林理事長が検査数値について解説。「詳しい結果は後日郵送でお届けします。検査結果が良かった人は、ぜひこのお達者度チェックのお手伝いを担う人になってくださいね」と呼びかけます。最後に「さまざまな活動に参加して活発に過ごすことが大事ですよ。地域の絆を深めながら、ともに健やかに年をとりましょう」と話すと、会場は拍手に包まれました。
プロジェクトでは、「法人内には歯科診療所もあるので、今後は咀嚼や嚥下状態のチェックを加えてはどうか」と構想中です。「これからは地域包括ケアの時代。医療・介護者が専門性を生かした『地域の担い方』を模索しながら、地域住民の思いに寄り添っていきたい」と、小林理事長。柔らかな表情で強い決意を語りました。
チェック項目
■問診
■計測
身長・体重・握力・血中酸素濃度
■低栄養予防健診
二の腕周囲・上腕三頭筋脂肪圧
ふくらはぎ周囲の計測
■転倒予防健診
腕伸ばし・歩行速度
■認知症健診
かなひろい・文章記憶
いつでも元気 2017.11 No.313