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いつでも元気

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まちづくりのススメ 
こども食堂

 子どもの貧困問題が注目され、「こども食堂」が全国で広がっています。運営のポイントを、自身もこども食堂を運営し全国で講演するNPO法人「豊島子どもWAKUWAKUネットワーク」理事長の栗林知絵子さんに聞きました。

文・井口誠二(編集部)

親子が訪れる「にこにこ食堂」(茨城保健生協)

親子が訪れる「にこにこ食堂」(茨城保健生協)

Point1 最初に決めておくことは?

 「どんなこども食堂を目指したいのか」を決めましょう。例えば、経済的困難を抱えた子どもを対象にしたいのか、孤食対策にしたいのか。どのくらいの頻度で、どんな規模を目指すのか。
 もちろん、決めた通りに子どもが集まるわけではありませんが、会場探しや人集めの出発点になるので、「やりたい形」を具体的にイメージしておきます。

Point2 会場の探し方は?

 こども食堂は個人宅や休業日の飲食店、公民館などの公共施設、お寺や教会などさまざまな場所で行われています。知人や友人に紹介してもらったり、地域の施設を当たってみましょう。
 許可がもらえるまで数カ月かかることもありますが、丁寧に主旨や思いを伝えることが大切です。

Point3 スタッフは何人くらい必要ですか? 

 子ども3~5人程度ならスタッフは5人もいれば大丈夫です。ただ最低限の人数しかいないと、それぞれの都合で遅れたり休んだりできないので、人数に余裕はほしいですね。
 また、調理師や栄養士の免許を持っている方は必ずしも必要ではありません。主婦や会社員だけで運営している所も多くあります。
 スタッフは仲間内だけでなく、「こども食堂をやりたい」ことを発信し、地域で手助けしてくれる人を探すことも大切です。機会があれば手伝ってみたい人は多くいます。そんな人が「私も手伝いたい」と言ってくれた時に、受け入れる余裕を持っていた方が良いでしょう。

Point4 子どもへの呼び掛けは?

 どこのこども食堂も苦労する課題です。街頭でのビラ配りやインターネットを使った広報、SNSの活用、「こども食堂ネットワーク」への参加など、自分たちにできることをしてみてください。
 地域の社会福祉協議会や民生委員、PTAなど子どもに関わる組織に相談したり、近隣で行われているこども食堂を手伝いながら参考にするのも良いと思います。

Point5 手続きなど、必要なことは?

 まず最寄りの保健所で、どんな場所、頻度、規模、料金体系でこども食堂を開こうと思っているのかを説明し、必要な資格や手続きを確認してください。自治体によって必要な手続きは異なるので、保健所で相談してみてください。
 また誰か1人は「食品衛生責任者」の資格を持っておきましょう。1日の講習を受ければ取得でき、費用は1万円です。そして学んだ衛生知識を他のスタッフにも伝えてください。
 一般の飲食店と違い、こども食堂では営業許可は必要ありません。ただし「不特定多数へ食事を提供する」事業になると営業許可が必要なので、集まる人には必ず名簿に名前や住所を書いてもらいましょう。
 事故対策では保険に加入すること。イベント保険やボランティア保険などさまざまな種類があるので、よく検討してください。

Point6 運営上、気を付けることは?

 アレルギー源となる食品は使わないのが無難です。参加名簿で、アレルギーの有無を確認しておくと安心です。
 また、できるだけ定例開催にすること。大抵の子どもは次の予定をメモしません。曜日感覚はあるので、決まった曜日で開催すると覚えてくれます。

Point7 一番大切なことはなんでしょう?

 スタッフ集めに関連しますが、「こども食堂の主旨に賛同して心を動かされた」という仲間を作ることです。
 こども食堂の当日に、誰も訪れないこともあります。金銭面でも苦労するでしょう。そんな壁に何度もぶつかると思います。
 そんな時にも「どうすればもっと良くできるのか。そのためには何をすれば良いのか」と常にみんなで考えて話し合うことが大切です。思いを持って集まった仲間であれば、苦境に立たされてもそれを乗り越えることができるはずです。


豊島子どもWAKUWAKUネットワーク

2012年、「地域の子どもを地域で見守り、地域で育てること」を掲げ設立。現在、こども食堂4カ所の他に、「無料学習支援」や遊び場を提供する「プレーパーク」、親の帰りが遅い子どものための「夜の児童館」など幅広い活動を行っている。

いつでも元気 2017.11 No.313