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いつでも元気

いつでも元気

新ほっと介護 身だしなみを整える

全日本民医連介護職委員会委員/京都・介護老人保健施設茶山のさと
和久田拓也

 洗顔、整髪、口腔ケア、爪切り、ひげ剃り、更衣など、身だしなみを整えることを「整容」と言います。
 整容は身体の清潔を保つだけでなく、生活意欲を向上させたり、身体状況に良い影響を与えます。

 私たちは日常生活の中で当たり前のように洗顔や整髪、歯磨きをします。しかし加齢や病気、けがなどで、それらを自力で行うことが難しくなる場合があります。これまでの生活習慣や生活リズムが乱れると、ストレスが増して意欲の低下を引き起こします。メリハリのある生活リズムを整えるためにも、整容の介助はとても大切です。
 また、整容は身体を清潔に保つだけでなく、新陳代謝を高めて感染予防にもなります。気分転換を図ることで、意欲の向上や生活の質の向上につながります。

整容介助のポイント

 今回は整容の中で、6つの介助についてポイントを紹介します。

(1) 洗顔

 洗面所で洗顔できる方は洗面所で、そうでない方には蒸しタオルを手渡すなどして極力自分で行ってもらいましょう。
 介助をする時も蒸しタオル(資料1)を使います。力を入れ過ぎず、声を掛けながら優しく拭いてください。皮脂がたまる小鼻や耳(耳の後ろは特に臭いが残りやすい)も忘れずに拭きましょう。
 目やには目頭から目尻へと拭き取ります。皮膚の柔らかい部分なので、固まって取りにくい場合は蒸しタオルをあて、ふやかしてから拭き取ってください。黄色や緑色っぽい目やにが増えた時は感染症が考えられます。眼科にご相談ください。

(2) 整髪

 髪は優しくとかしましょう。絡まっている髪は無理に引っ張らず、根元を押さえてお湯や整髪用の水などを使用します。好みに合わせて髪形を整えましょう。
 腕が上がりにくく髪をとかすのが難しい場合は、持ち手の長いくしや、角度がついているくしを使ってください。筋力が弱くしっかり握れない場合は、柄の太いものや軽いものなどを選びましょう。介護用のくしやヘアブラシ(資料2)も販売されているので、介護用品店やケアマネジャーに相談してください。
 整髪で抜けた髪を見るとショックを受ける人もいます。抜けた髪の毛はすぐに片付けましょう。整髪の後は鏡を見せ、きれいになったことを実感してもらうとより効果的です。

(3) 口腔ケア

 口腔内は歯垢や舌の汚れが残っています。食事ができない方は口腔内の乾燥から細菌が増えやすく、さまざまな疾患の原因になります。口腔ケアは口腔内の清潔を保ち、食欲増進や肺炎予防など健康維持のためにとても大切です。9月号の「お口を清潔に保つケア」や今号の「けんこう教室」を参考にしてください。

(4) 爪切り

 高齢になると爪が変形したり、厚く硬くなります。深爪や出血に注意し、お風呂上がりの爪が軟らかい時に切りましょう。入浴が難しい時は、蒸しタオルで温めると爪が軟らかくなり切りやすくなります。
 爪を一気に切ろうとすると、爪と皮膚の境目が分かりにくくけがをすることがあるので、少しずつ切るようにします。足の爪は特に巻き爪になりやすいので、爪の両角を真っすぐに切りましょう(資料3)。これを「スクエアカット」といいます。厚くなった爪や巻き爪に対応した爪切りもあるので、介護用品店などでお尋ねください。爪切りを使用して爪を切るのが難しい時は、爪ヤスリを使用して整えるだけでも構いません。
 巻き爪や分厚く切りにくい爪は無理して切ろうとせずに、皮膚科や外科に相談しましょう。また、足にできた魚の目やタコ、水虫から感染症を起こすことがあります。爪切りの時に足を観察して、皮膚の色に異変があれば医師に相談しましょう。

(5) 耳掃除

 耳の中に垢がたまると、難聴や耳鳴りの原因になります。耳の中は傷つきやすく痛みに敏感なので、耳掃除は無理をせずよく見える範囲に留め、あまり奥まで耳かきや綿棒を入れないようにしましょう。耳の中をのぞいて奥の方に耳垢が詰まっているようであれば、耳鼻科を受診して取ってもらいましょう。
 入り口付近であれば耳かきなどを使用して取り除くことも可能です。湿った粘着質の耳垢の場合は、綿棒を使って絡めるように取り除きましょう。お風呂上がりは耳垢が湿気を吸って軟らかくなっていているため、取り除きやすくなります。

(6) 鼻のケア

 鼻の中はデリケートな部分です。粘膜が傷ついてしまう可能性があるので、指や爪を直接入れて取ろうとせずに、綿棒を使用しましょう。
 鼻の入り口から1cm以内を綿棒で内回り、外回りとゆっくり数回なぞります。鼻垢もお風呂上がりなど、湿気で鼻の中が湿っている時の方が取り除きやすくなります。

自信やリハビリにつながる

 「整容」を自らが行うのと他人に任せるのでは、爽快感や達成感など気持ちが変わります。自分で行うことが自信につながり、リハビリにもなります。できることはなるべく自分でやってもらいましょう。介助者はできない部分をさりげなくお手伝いする姿勢が大切です。

いつでも元気 2017.10 No.312