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いつでも元気

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くすりの話 飲み薬と点滴

回答/白倉洋朗(山梨・甲府共立病院)

Q 飲み薬と点滴の違いを教えてください。

 飲み薬と点滴の違いを知るために、それぞれの薬がどのように吸収されて効き目を発揮するのかを説明します。
● 飲み薬
 錠剤や粉、カプセルなど口から飲んだ薬は、胃から腸に運ばれながら、だんだん溶けていきます。溶けた薬は小腸の壁から血液に吸収され、肝臓に運ばれて全身をまわります。
 血液に吸収された薬はあっという間に全身にまわりますが、胃や腸などの消化管を通って血液の中に吸収されるまでには15分から20分くらいかかるので、薬の効き目はゆるやかに現れます。また、飲み薬はほとんどの成分が小腸で吸収されるため、成分の吸収率は点滴に比べると少なくなります。
● 点滴
 点滴や注射は、血管に直接薬を注入しますので、薬はそのまま吸収されます。速やかに全身にくまなく薬がまわり、すぐに効き目を発揮します。

 以上のように、飲み薬と点滴では、(1)薬を全身に行き渡らせる方法、(2)薬の吸収率、(3)薬の効果の現れ方の3つの違いがあります。ただし、必ずしも「飲み薬は弱い薬」「点滴は強い薬」であるとは言えません。

Q 薬を処方される時と、点滴をする時の違いは?

 医師は患者さんの症状に応じて、飲み薬か点滴かを判断しています。
 飲み薬は患者さんがご自身で飲んで治療することができるため、自宅での治療に適しています。
 点滴は多くの場合、「重症」、「緊急に対処が必要」、「栄養や水分の補充が必要」など、直ちに薬の効果を発揮させることが必要な方に行います。
 具合が悪くて薬を飲むことができない場合でも、薬を体内に取り入れることができるのが点滴です。
 たとえば入院中の場合でも、病状がひどい時は点滴で治療をし、だんだん飲み薬に変更していきます。飲み薬だけで症状が安定すれば、退院して自宅での治療ができるようなります。

Q 「風邪は点滴してもらえば良くなる」って本当?

 風邪で受診した際、点滴をすることがありますね。そもそも風邪の原因であるウイルスを倒す薬はないので、飲んだり食べたりできないほど具合の悪い時は“栄養や水分を補うこと”を目的に点滴をしています。どんな病気でも「点滴をすれば改善する」というわけではないのです。
 ただし、栄養や水分の急速な補給は点滴が適しています。点滴をすることで、早く回復する場合が多いようです。ある程度体力が回復すれば、ご自身の力で栄養や水分を摂取しましょう。

◎「いつでも元気」連載〔くすりの話し〕一覧

 

いつでも元気 2017.6 No.308