Topics 介護の未来がかかった裁判 署名にご協力を
「特養あずみの里 業務上過失致死事件裁判で無罪を勝ち取る支援集会」が4月23日、長野県で行われました。主催は同勝ち取る会。
この裁判は2013年12月、特別養護老人ホーム「あずみの里」(同県安曇野市)の食堂で、おやつのドーナツを食べた利用者Aさんが意識を失い病院に搬送されたものの、意識が戻らないまま1カ月後に死亡した事件です。
Aさんが座っていたテーブルで、別の利用者の介助をしていた准看護師が「Aさんの見守りを怠ったためAさんがドーナツを誤嚥して死亡した」として、業務上過失致死(注視義務違反)で起訴されたもの(本誌2016年6月号既報)。現在、長野地裁松本支部で公判が続いています。
弁護団は公判のなかで「准看護師は隣に座って利用者の介助をしていた。注視義務違反とは言えない」「利用者は誤嚥していない」と反論。全国から寄せられた17万筆超の「無罪を求める署名」を裁判所に提出しましたが、検察は「ドーナツを配ったことが過失だ」と、極めて異例ながら起訴事実を追加。5月31日に7回目の公判を迎えます。
集会で弁護団長の木嶋日出夫氏は「起訴事実の追加は、何がなんでも有罪にしようという検察の思惑で許されない。ますます介護の在り方の根本を問う裁判になってきた」と経過を報告。
特養あずみの里で働く森山明さんは「今回のことが罪に問われるなら、今後の介護現場に大きな損失になる。施設は事故が起こらないように利用者を選んだり、誤嚥しないよう安易に流動食や点滴にしたり、転倒しないよう拘束するようになる。本来あるべき介護からかけ離れてしまう。この裁判には介護の未来がかかっている。ご支援をお願いします」と訴えました。全日本民医連、医労連、国民救援会も支援を表明しました。
裁判が「起訴事実の追加」という新たな局面を迎えたことから、勝ち取る会は新たな署名用紙を作成。5月末までに1万筆、年内に20万筆を目標に取り組みます。
いつでも元気 2017.6 No.308