くすりの話 海外の薬事情
回答・廣田憲威(一般社団法人 大阪ファルマプラン・薬剤師)
読者の皆さんも、海外を旅行する機会があると思います。今回は、海外の医薬品やサプリメントの注意点を紹介します。
Q 海外で薬を購入してもいいですか?
A 国によっては、薬局だけでなくコンビニやスーパーでも薬を販売しています。ですが、急な発熱や頭痛などで薬が必要になったときは、必ず薬局(Pharmacy)を探して、薬剤師に相談してから購入しましょう。
海外には、日本には無い珍しいものがたくさんあります。薬もその1つです。しかし、日本での使用を目的に薬を購入して持ち帰ることは危険ですので、絶対にやめましょう。
Q 海外と日本の薬の違いはありますか?
A 日本の薬と同じ成分の薬もありますが、海外には日本で承認されていない(使用できない)成分の薬もたくさんあります。
同じ成分の薬で代表的なのは、解熱鎮痛剤として使われるアスピリンやアセトアミノフェン(商品名パラセタモール)などです。ただ、成分は同じでも1錠(カプセル)当たりの含有量が違います。一般的には、日本より海外の薬の方が、含有量が高いようです。
Q 海外のサプリメントはどうですか?
A サプリメントも薬と同様です。成分はビタミン剤であっても、日本で認められていない添加物を使っているものもあるので、購入は避けた方がいいでしょう。
特にアメリカでは、日本よりも医薬品やサプリメントの規制が緩和されているので、小規模のお店であってもたくさんの種類が販売されています。鑑賞用に購入する以外は、お店で見て回ったり写真に収める程度にとどめましょう。
Q 海外の薬で健康被害が起きたら?
A 日本では、処方された医薬品(抗がん剤などを除く)や購入した市販薬を適正に使用して健康被害(副作用)が生じた場合、厚労省の「医薬品副作用被害救済制度」に申請することができます。
申請して「入院が必要な程度の副作用被害である」と認定されれば必要な補償を受けることができますが、この制度は海外の医薬品には一切適用されません。日本国内からインターネットなどで、海外の薬を個人輸入して使用した場合も同様です。使用には十分気をつけましょう。
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海外旅行中に体調を崩したときは、薬局で市販薬を買うのではなく、日本語で対応してくれる医療機関を受診するのが適切です。
もともと持病がある方や常備薬をお持ちの方は、日本で使用している薬を持参するようにしましょう。
いつでも元気 2017.5 No.307