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いつでも元気

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Topics 子どもの貧困をキャッチする窓口に

 昨年12月4日、都内で「貧困と子どもの健康シンポジウム」が行われました。民医連の小児科医も多く関わる実行委員会主催。シンポジストは健和会病院(長野)の和田浩さん(小児科医)、日本小児科学会前会長の五十嵐隆さん、千葉大学予防医学センター教授の近藤克則さんの3人。このほか、5つの一般演題も発表されました。

貧困は社会的コスト

 近藤さんは65歳以上の高齢者を対象に幼少期と現在の暮らしについて調査し、幼少期に所得の低かった層では、高齢期まで健康状態に影響があることを指摘。「所得による教育年数の差は就職にも影響する。就職先によって国民年金や厚生年金など年金の種類が変わり、高齢期の所得にもつながる」と話しました。
 五十嵐さんは欧米と日本の子どもの貧困対策について比較し、日本は子どものための施策に対する公的支出が低いことを指摘。「貧困家庭の子どもは自己肯定感が低くなり、社会に貢献したいと思う気持ちの形成が難しくなる」と危惧しました。
 和田さんは現場での取り組み事例を紹介しながら、経済的貧困の対策だけではなく、「経験・文化・つながりの貧困」への対策が必要だと発言。会場からも「貧困だからこそ才能が開花したというパターンがまれにあるが、それは人間的なつながりが貧困ではなかった人なんだと気付けた」との声がありました。

社会的資源を活用するために

 一般演題でも「つながり」の重要性が注目されました。茅ヶ崎市民病院(神奈川)の山口有紗さん(小児科医)は、養護施設でボランティアをしていた時に貧困を抱える子どもや家族に数多く出会い、彼らを社会的資源につなげることがいかに困難かを知ったと言います。
 山口さんは「子どもとその周りで支える人が少ししんどい時に、頑張らなくてもいい社会を実現することが必要」と強調。社会的資源を知り、つながるために、子どもに関わる専門家が集まり情報を共有する場「こども専門家アカデミー」を作った経験を紹介。
 順天堂大学医学部の3、4年生も登壇し、基礎ゼミでホームレス支援やこども食堂、学習支援などに参加した経験を発表。「医師になったら、困難を抱えている人を適切に社会的資源につなげられるようになりたい」と報告しました。
 シンポジストや演題発表者が共通して強調したのが、「医療機関は子どもと家族の貧困サインをキャッチする窓口になる」ということ。病院関係者や各分野の専門家などがチームを組み、貧困家庭を社会的資源につなげる必要があるとの発言が目立つシンポジウムでした。

(写真・酒井猛)

いつでも元気 2017.3 No.305