支え合いまちづくり みんなで作る自分たちの会 石川県健康友の会連合会金沢南ブロック 「十一屋支部」 文・井口誠二(編集部) 写真・五味明憲
石川県健康友の会連合会金沢南ブロックの十一屋支部は、毎週月曜日に「十一屋サロン」を開いています。
サロンが人を惹きつける魅力とは?
金沢市中心部の十一屋町で活動する十一屋サロンでは、第1週は食事カフェ、第2週はうたごえ喫茶、第3週は健康体操、そして第4週はけんこうカフェと毎週決まった内容で開催しています。
取材したのは7月第4週のけんこうカフェ。午前10時前、サロン会場には10人以上の友の会員が集まっていました。
楽しく話してお勉強
けんこうカフェでは『元気』で連載している「けんこう教室」などを教材にして、勉強会をしています。
「さあ、始めてみましょうか」と進行役の白崎正子さん。十一屋支部では企画ごとに担当者を決めており、白崎さんはけんこうカフェの担当。「『元気』は勉強になるので、カフェで使おうとみんなで決めました」と話します。
この日のテーマは、いきいきシニアライフの「書いてみようエンディングノート」。1人ずつ今まで記憶に残っている葬儀などを話し、コピーした紙面でエンディングノートを試し書きします。
葬儀の参列者を決める「お別れに来て頂きたい方」の項目では、「大きな葬儀も家族葬も参列したけれど、家族葬が落ち着いていて良かった」「子どもの外聞もあるし、自分で決めて良いのかな」「死んだ後のことは、残った人に好きに決めてほしいんだけどね」と、自身の体験を話す人や子どもに一任する人など、考え方はさまざま。
みんなが主人公
試し書きが終わったところで、お茶の時間。お茶請けのお菓子が入っているのは、折り紙班会で作った紙皿。「これ私が作ったのよ」と誇らしげな笑顔が溢れます。十一屋支部では、進行やお茶係などの役割もできるだけ大勢で少しずつ分担します。
支部長の江尻睦子さんは「私たちの支部は、“みんなで作る自分たちの会”をめざしています。1人ひとりが主人公だからこそ意欲的に参加するし、楽しみも増えます」と話します。
“主人公”たちが支え合って役割を果たす一方で、裏方で支部活動を支える人もいます。今年4月から有償ボランティアとして、金沢南ブロックの副責任者を務める山下明希さんはその1人。専従で事務局の役割を果たしています。
「“副責任者”なんて肩書きですが、友の会の主役はブロックではなく支部、地域の人たちです。十一屋支部の皆さんは本当に生き生きとサロンや班会に参加して楽しそう。それでいて、誰でも受け入れる雰囲気を作っているので新しい人もすぐ打ち解けています」と山下さん。
1年ほど前からサロンに参加している会員さんは「健康のためと思って参加してみたけれど、みんな良い人ですぐに仲良くなりました」と笑います。さらに「健康だけじゃなくて社会情勢を勉強することもあって面白いし、ここで交流するのが今は何よりの楽しみになりましたよ」と言います。
地域に合わせた活動を
今後はより若い世代に広めていくことも課題の1つ。
十一屋支部のある金沢南ブロックでは、昨年から友の会員の小中学生を対象に、毎週木曜日の午後5時から9時まで放課後学習サポート「寺子屋みのり」を始めました。勉強だけでなく季節行事なども行い、年度末の「卒業・進級お祝い会」には、支部のお茶サークルの協力で「お茶会体験」を実施。寺子屋がきっかけで友の会に入った子育て世代もいます。
石川県健康友の会連合会事務局長の木村吉伸さんは「行事や企画など人が集まる場が増えるだけではなく、人と人のつながりができることが大事。その人、その地域で必要なこと、得意なことはそれぞれ違う。地域に住む人の思いに沿って、願いを形にすることが大切だと思います」と話します。
いつでも元気 2016.10 No.300