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いつでも元気

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いきいきシニアライフ(6) 現代お墓事情 その2 民営墓地なら200万円 手続きが煩雑な「改葬」

「お墓を買う」とは

徳田五十六 ライフデザイン社会保障研究会代表。ファイナンシャルプランナー

徳田五十六 ライフデザイン社会保障研究会代表。ファイナンシャルプランナー

 墓地は納骨する施設のことで、墓所とはその一区画を指します。「お墓を買う」とは墓所を買うのではなく、墓所を借りて使用する権利を購入するものです。一般の利用権とは異なり、期限の定めのない永久の使用権であるのが特徴です。これを永代使用と言います。本誌5月号でふれた「永代供養」とは意味が違うので、注意してください。
 墓所は永代使用契約なので、契約の更新は必要ありません。別途、管理契約の中に管理料とその他の内容が含まれています。あくまで土地の使用契約なので、墓石は別に購入が必要です。

お墓の値段

 お墓の値段について紹介しましょう。お墓にかかる費用は、大きく分けて(1)墓所(2)墓石(3)管理があります。
(1)墓所 墓所の値段は土地代や造成費など、地理的条件や施設の規模で大きく異なります。
 東京近郊なら二〇~四〇万円ですが、都心には一〇〇〇万円もするお寺もあり、立地や環境で千差万別です。購入する際は、年間管理料や宗教上の約束、埋葬者の制限など管理契約を同時に結びます。値段だけでなく、管理契約の内容もよく確かめることが大切です。
(2)墓石 墓石の値段は全国平均で一三〇万円、東京の平均価格は一五五万円です。新たに墓を建てるには、墓石を購入するだけでなく造成費用も必要です。墓石と造成費用を含めて六〇~一二〇万円で請け負う業者も出てきました。各自の予算に合わせて、ネットなどで調べて慎重に業者を選びましょう。
 墓石には石碑のほか水鉢、花立、塔婆立(納骨や年忌法要の時に卒塔婆を立てる)、墓誌(戒名、死亡年月日、享年、俗名を刻む)など付属品がついています(下イラスト)。
 これ以外にも、名刺受け、灯籠、五輪塔、玉砂利などさまざま付属品があります。他人のお墓を見たり、石材店から話を聞くうちに、「あれもこれも、そろえなければいけない」と思い込み、気がつけば必要のない付属品まで選んでしまい、費用が高額になることもあります。
 墓石に最低限必要なのは、石碑、拝石、カロート、水鉢、花立、香炉、外柵の七点です。これ以外は使い道を知ったうえで、必要に応じて付け足すようにしてください。
(3)管理費 いったんお墓を建てたら、管理費もかかります。年間管理料は公営墓地で三〇〇〇~八〇〇〇円、寺院墓地や民営墓地では一~三万円です。

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共同墓は40~80万円

 最近はお寺がコンピューターで管理する共同墓も出てきました。お墓参りをする際は、ボタンを押せばその場に墓が現れる仕組みです。こうした共同墓は、墓所と墓石を合わせて四〇~八〇万円で購入できます。5月号で紹介した「永代供養墓」は三~八〇万円です。また、一部の年金者組合が共同墓を運営しており、一人二〇万円、夫婦二人分で三〇万円で購入できます。
 具体的なケースを紹介しましょう。都心から約一時間の民営墓地の場合、墓所と墓石を含めて二〇〇万円、年間管理料は一万四〇〇〇円です。公営墓地は安く、都立八柱霊園は八〇万円で、年間管理料は三〇〇〇円です。
 お墓を建てない人も増えてきました。樹木葬や散骨の専門業者もあり、一人二〇~三〇万円が相場のようです。以前、都立小平霊園で散骨の募集がありました。価格は一二万六〇〇〇円と安く、申し込みが殺到して抽選になりました。

改葬の手順

 5月号で「墓を継ぐ人がいない」という理由から、「永代供養」に切り替える人もいると指摘しました。これとは少し違いますが、「先祖の墓が遠くて墓参りができない」といった理由から、お墓を近所に移したいという人も出てきています。遺骨を別の墓地に移すことを「改葬」といいます。
 改葬の手順を紹介します。
(1)埋葬証明書の発行 現在のお墓の管理者から、納骨の事実を証明する「埋葬証明書」をもらいます。
(2)受け入れ証明書の発行 遺骨を移す新たなお墓の管理者から「受け入れ証明書」をもらいます。
(3)改葬許可証の発行 現在のお墓がある市町村に、(1)(2)の証明書を添付して改葬許可申請書を提出すると、「改葬許可証」がもらえます。
(4)改葬許可証の提出 改葬許可証を改葬先のお墓の管理者に提出します。

改葬を考えたら

 事務的な手続きは以上です。
 改葬のため寺院にお墓を返す時は更地にすることが原則で、撤去費用がかかります。遺骨を掘り出して移すためのお経も必要で、お布施も支払います。最近では改葬専門業者もあり、料金は二〇~四〇万円です。業者に相談し、見積もりをとって慎重にすすめるのも選択肢の一つかもしれません。
 改葬しようと思ったら、あらかじめ寺院に相談しましょう。寺院との関係をこじらせた結果、法外な離檀料を請求される事態も起きています。
 家族関係が薄れているとはいえ、嬉しいことや悲しいことが起きた時、また育ててくれた親の思いが想像できる年齢になれば、お墓は心の拠り所になるもの。改葬を考えたら家族でお墓に対する考え方や費用も含めて話し合い、納得したうえで親族の理解を得ることが大切です。
 次回は葬儀のエンディングノートの具体例を紹介します。

いつでも元気 2016.6 No.296