Dr.小池の世直し奮戦記 経済にデモクラシーを 止めよう格差と貧困の「アベノミクス」
「アベノミクス」のもとですすんだ法人税減税や年金資金投入による株価のつり上げは、一部の大企業や大株主に巨額の利益をもたらしました。大企業は史上最高の利益をあげ、三〇〇兆円もの内部留保を抱えています。
そして、日本でも「億万長者」と呼ばれるような“超富裕層”が続々と誕生しています。ひとにぎりの人たちに、巨額の富が集中しているのです。
40人の超富裕層の資産が急増
アメリカの雑誌『フォーブス』が集計した「日本の富豪」によると、上位四〇人が保有する資産の総額は、アベノミクスの三年間(二〇一二~一五年)で、七・二兆円から、一五・九兆円へと二・二倍に膨れ上がりました。
一五・九兆円は、東京都の一般会計予算(七兆円)の二年分以上にのぼります。富裕層四〇人の一人あたりの資産額は三九七〇億円で、これは日本の平均的な世帯が保有する金融資産(預貯金など)の一〇万世帯分に相当します。
資産総額一五・九兆円は、日本の全世帯の下から五三%の世帯の資産額に相当するものです。わずか四〇人で、全国民の半分に相当する資産を独占しています。日本でも、途方もない貧富の格差の拡大が進んでいるのです。
「貯金なしの世帯」過去最高に
一方、「金融資産を保有しない世帯」(預貯金なしの世帯)の割合は、二人以上の世帯で三〇・九%となりました(日本銀行の二〇一五年調査)。単身世帯では過去最高の四七・六%と、ほぼ二人に一人に達しています。世帯数に換算すると、金融資産を持たない世帯が最近の三年間で四七〇万世帯も増え、一八九二万世帯に達したことになります。
貯蓄が減少した理由で最も多いのが「定例的な収入が減ったので、貯金を取り崩した」との回答でした。日本の賃金は一九九七年ごろをピークに減少を続けています。さらにアベノミクスのもとで、消費税増税を含む物価の値上げが、実質賃金の低下をもたらしました。所得の低下が中間層を痛めつけ、貧困を拡大しているのです。
だれもが貧困と隣り合わせ
相対的貧困率は一六・二%に達しています。国民の六人に一人が貧困状態に置かれたなかで、「子どもの貧困」や「下流老人」「貧困女子」などの言葉がマスコミに頻繁に登場しています。
「貧困」という状態が、「特別な人」の問題ではなくなり、多くの人がちょっとしたことから、すぐに「貧困」に陥ってしまう危険と隣り合わせになっています。安倍政権が進める雇用の規制緩和や社会保障の削減が、国民のこうした不安を高めていることは間違いありません。
格差と貧困を是正することは、憲法二五条が保障した「生存権」を実現するための課題です。そして、家計という経済の最大のエンジンを温めて経済の好循環を生み出すためにも、不可欠な重要課題です。
あらゆる経済政策の基準に「格差と貧困を是正するのか、拡大するのか」をすえなければ。公正な経済の実現を。経済にデモクラシーを。日本の未来のために!
いつでも元気 2016.5 No.295