けんこう教室 筋力アップで健康づくり 筋力低下は万病のもと!? 運動を「始める」「続ける」には
みなさんの日常生活はどんな動作が多いでしょうか? イスからの立ち座り、歩行、階段の昇り降りなど多くの動作があるでしょう。それらの動作はいくつもの筋肉同士がチームを組み、互いに筋力を発揮しながら、巧みに関節を動かすことでおこなわれています。
身体、動かしていますか?
普段、運動の習慣はありますか?「まったく身体を動かしていない」という方は、筋力が低下しやすくなります。
筋力が低下すると、関節をうまく動かせなくなります。身体を動かすときに関節がうまく動かせないため、動きが少しでも制限されると、身体は他の関節を動かして動作を補います。すると、動きを補った関節には通常以上の負荷がかかり、その結果、補った関節も動きが制限されてまた別の関節が動作を補い…と、“負の連鎖”に陥ります。
動きが制限されたり痛みが出現したりすると、さらに身体を動かすこと自体が億劫になります。いったん
運動不足が習慣化してしまうと、そこから抜け出すのは容易ではありません。
運動不足の生活が続くと、身体活動量が低下し、肥満の助長、生活習慣病の誘発・悪化など、さまざまな疾患の原因にもつながります。
「筋力トレーニング」「ストレッチング」のすすめ!
スムーズに動作をおこなうためには、適切な筋力トレーニングやストレッチングが有効です。筋力を向上させるには、筋力の調節機能の働き(神経系)を活性化し、筋肉を太くすることが重要になります。そのためには筋トレが欠かせません。
筋トレは筋肉への負担が一方のみに偏らないように「体の前面を鍛えたら後面も鍛える」「上半身を鍛えたら下半身も鍛える」といった具合に、全身を鍛えると効果的です。
ストレッチングは、筋肉の血流を促し疲労回復に役立ちます。また、精神面でのリラックス効果などもあります。
いずれも身体の動きをなめらかにする潤滑油のような役割を果たしますので、ぜひ筋トレやストレッチングを始めてみましょう。
運動を身近に!
「運動が大事なのは重々承知しているけれど、そうは言ってもなかなか始められない」「せっかく始めても長続きしない」という方は、意外と多いのではないでしょうか?
そこで「運動を始める」「続ける」ために、私なりに考えたポイントをお伝えします。ぜひチャレンジしてください。
1つめのポイントは「ほんの少し」を意識することです。「歯みがきの時に片足で1分ずつ立つ」「やや大股でかつ速歩で歩く」「デスクワークの時に背すじを伸ばす」など、これらを日常生活で意識するだけでも、身体の活動量は確実に増加します。このようにとりくむことで、いつでも運動を始めることができ、継続もしやすくなります。
2つめのポイントは「運動を意識しやすい環境をつくる」ことです。筋トレやストレッチングが掲載されている用紙を冷蔵庫やリビングの目に付く場所に貼り出すだけでも、運動する動機づけになり、効果的です。
この方法で「うまくいったよ」という方は、お知らせいただけるとうれしいです。
安全で効果的に楽しむために
運動中は、心臓・血管・関節・骨などに通常よりも多くの負担がかかります。心臓病・生活習慣病・関節痛などがある方にとっては、運動がかえって身体に悪影響を及ぼす可能性もあります。
そこで、ご自身の身体の状態を把握し、運動を楽しみ、効果的に実施するためにもメディカルチェック(医学的検査)をお勧めします。主治医に運動の可否、内容などを確認してからとりくむようにしましょう。
健康づくりの拠点に
当施設(かえつメディカルフィットネス「ウオーム」)は、糖尿病・循環器・労災職業病の専門外来がある「かえつクリニック」に併設しています。体操のスペースと、エアロバイクや筋力マシンなどを備えるマシンフロアがあります。会員のほとんどは友の会会員で、現在約300人が利用しています。
開設のきっかけは、クリニックの岡田節朗所長が「冬になると糖尿病患者さんの状態が悪化するのは、雪のために外出が減り、運動不足になることが原因ではないか」との気づきからです。持病があるとスポーツクラブへの入会を断られる場合があります。しかしクリニックと併設することで「病気を持っている人でも医療機関との連携で安心して運動できる施設になる。また、地域の方がたの健康づくりの手助けもできる」と考え、10年前に開設しました。
現在、医師・看護師、運動指導の専門家である健康運動指導士やインストラクターが共同して、疾患の予防・改善や健康づくりのための運動を提供しています。
次のページでは筋力アップとストレッチングの体操を紹介します。ぜひ、試してみてください。
いつでも元気 2016.5 No.295