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いつでも元気

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支え合い まちづくり 政治が変われば、社会が変わる 組合員とともに 無低診の薬代助成実現へ 沖縄

 沖縄県那覇市が、無料低額診療事業の薬代助成へ踏みだしました。実現すれば沖縄で初めて、全国で六例目の快挙です。沖縄民医連と沖縄医療生協組合員の粘り強い運動が実りました。見逃せないのは、基地問題に端を発した“オール沖縄”の力で市政が変わり、政治の変化が社会保障の前進につながったことです。若い職員は「動けば変わる。確信になった」と言います。
(文・新井健治記者、写真・五味明憲)

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模型を使い、患者に吸入薬の指導をする薬剤師(こくら虹薬局)

 那覇市議会は七月八日、沖縄民医連が提出していた薬代助成の陳情を全会一致で採択、一二月議会で予算がつけば来年四月に運用開始の予定です。助成期間や金額は、これから議会で議論されます。
 沖縄医療生協は二〇一〇年に無料低額診療事業(無低診)を開始。診察代が無料や低額になっても、薬局には無低診が適用されないため、薬代が払えずに治療を中断する事例が相次ぎました(注)。たとえば糖尿病やリウマチ、がんの治療では、診察代が一〇〇〇円以下でも、薬代が一?二万円かかることは珍しくありません。
 沖縄民医連は、二〇一二、一三年と陳情を続け、昨年は助成を求める署名四一七七筆を提出。組合員は署名を集めたり、陳情の場で地域の声を議会に届けました。「沖縄県生活と健康を守る会連合会」相談員の湧田廣さん(医療生協組合員)は「生活保護を相談してくる人の半数は緊急に医療が必要。無低診を適用できても、薬代が払えずに病気が悪化する人がいる」と訴えました。

“オール沖縄”で新市長誕生

 助成実現の背景には、政治の変化もあります。昨年一一月の市長選で、辺野古新基地反対の城間幹子さんが初当選。ささえたのは、従来の保革の枠を超えたオール沖縄です。
 那覇市議会の金城徹議長は「薬代助成は特定の党派に利することではなく、患者さんが助かる制度だと、保守、革新の垣根を超えて理解がすすんだ」と振り返ります。
 金城議長は市議会最大会派だった自民党新風会の元会長。県民の圧倒的多数が反対しても基地建設をすすめる自民党を離れ、オール沖縄で城間市長誕生に尽力しました。「お金が無くて病院に行けないと、私に相談に来る人もいる。困っている人が制度を作ることで救われる」と言います。
 元民医連職員の我如古一郎市議(共産)は「沖縄県の医療費は、外来が全国一低いにもかかわらず、入院は平均の一・二倍。お金がないので我慢を重ね、重症化してから医療機関にかかる人が多いのではないか」と指摘します。

若手職員の確信に

 全国で最も県民所得の低い沖縄。若手職員は貧困と格差を実感しています。「私たちの世代は将来の不安は大きいが、運動で社会を変えられるとの希望が出てきました」と沖縄医療生協組織部の西江はづきさん(二七)。こくら虹薬局薬剤師の比嘉仁さん(二七)は「窓口で薬代の心配をする患者さんも多い。今後は『安心して治療を継続してください』と言えるのがうれしい」と言います。
 沖縄医療生協理事の名嘉座安子さんは「無低診といえば医療生協。さらに薬代助成が実現して、月間中の組合員拡大にも大きな効果がある」と喜びます。
 また、こくら虹薬局の比嘉一喜事務主任は「組合員さんとともに運動をすすめ、成果を得ることができた。これからも組合員さんの力を借りて、制度の告知をすすめたい」と言います。
 助成金額や期間はこれから決まります。県内で四つの薬局を運営する沖縄健康企画の上原幸代社長は「生活保護など次の制度につなげるため、適用期間は六カ月ほしい。制度の充実に向け市に働きかけたい」と話しました。


(注)沖縄協同病院の2012~14年度調査によると、那覇市在住で無低診適用の患者に発行した処方箋は280枚でした。しかし、那覇市のこくら虹薬局で受け付けた処方箋は220枚。約60枚については「薬代が払えないため、薬の服用を断念したのではないか」と思われる事例です。

いつでも元気 2015.11 No.289