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いつでも元気

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くすりの話 182 貼る認知症薬

 アルツハイマー型認知症は、もの忘れがひどくなり、徐々に認知機能が低下していく病気です。アルツハイマー型認知症を完治させる治療法は、まだ見つかっていません。
 しかし、適切な薬やケアで症状の進行を遅らせることができます。

Q:なぜ、アルツハイマー型認知症に効く貼り薬ができたのでしょうか?

イラストA:アルツハイマー型認知症治療薬の貼り薬は、2011年に発売されました。薬の有効成分を皮膚から吸収させるようにした新しいタイプの薬(パッチ剤)です。貼り薬が発売される前は、飲み薬しかありませんでした。
 貼り薬のメリットとして、飲み薬を嫌がる人や、薬を飲み込みにくい人が使いやすいということがあげられます。また飲み薬は、見た目で薬を飲んだかどうか確認ができませんが、貼り薬は貼っていることを目で確認できるため、貼り忘れを防ぐことが期待されます。

Q:どんな効果があるのですか?

A:人間の脳には、記憶・学習に関わるアセチルコリンという神経伝達物質があります。アルツハイマー型認知症を発症すると、脳内のアセチルコリンが減少することが知られています。
 今回の薬は、アセチルコリンを分解するコリンエステラーゼという種類の酵素の働きを抑え、アセチルコリンの量を増やします。すると、神経細胞が活発になり、アルツハイマー型認知症の症状の進行を遅らせることができます。

Q:貼り薬を使用する際に気をつけることは?

A:1日1回、背中、上腕、胸のどこかに貼ります。一度に2枚以上貼らないように、前回貼ったパッチをはがしてから、新しいパッチを貼るようにします。貼り替えるときは違う場所に貼りましょう。
 薬の含有量により貼り薬の大きさが違います。最初は小さいサイズから始め、様子をみながら徐々に大きいサイズにしていきます。主治医の指示通りに貼りましょう。
 4日以上貼っていない期間がある場合は、小さいサイズに減らすこともありますので、主治医に相談してください。
 貼り薬といえども、飲み薬と同様に、吐き気、胃がむかむかする、胃腸の調子が悪くなる、めまいや眠気などの副作用がおこることがあります。体調など、何か気になることがあれば主治医や薬剤師にご相談ください。
 また皮膚が乾燥していると、貼り薬で皮膚が赤くなったり、かゆくなりやすくなります。乾燥した皮膚は、皮膚を守る働きが低下しており刺激に弱くなるからです。保湿剤を塗って皮膚の乾燥を防ぐことで、皮膚症状の副作用はある程度予防できます。

いつでも元気 2015.10 No.288