元気スペシャル/輝け! 地域の支え合い
一〇~一一月は共同組織拡大・強化月間です。“安心して住み続けられるまちづくり”に挑戦する二つのとりくみを紹介します。
福岡 「子どもたちに夏の思い出を」
北九州健康友の会・小倉支部
検査科による腹部エコー体験。おなかの中を見ることができて、みんなビックリ |
「ボク四回!」「私は三回!」
子どもたちが手のひらを見せて教えてくれたのは手洗いの回数でした。
福岡・北九州健康友の会小倉支部が小学生を対象に毎年企画している「ちびっ子保健学校」での一コマ。汚れに見立てた専用ローションを塗り、手を洗いま す。特殊なライトに手をかざすと洗い残しが光り、きちんと手洗いができているかわかります。子どもたちは何度も手を洗いに行っては、ライトに当ててみま す。満足いくまで洗った子どもたち。一番多い子は八回でした。
思い出に残る体験を
今年で一八回目となるちびっ子保健学校。支部長・髙﨑千代子さんの、自身が指導員をしていた学童保育に通う小学生たちのために、「夏休みの思い出に残る貴重な体験を」という思いから始まりました。
長い夏休みは親も大変です。毎日お弁当を作り、子どもを学童保育に送って、仕事に向かいます。どこかに遊びに連れて行くこともままなりません。そこで、子どもたちの思い出づくりをかって出たのが髙﨑さんたちでした。
当初は一つの学童保育内の企画でしたが、話を聞いたほかの学童保育からも参加したいとの声が。四年前からは会場となっている健和会・大手町病院の職員に も声をかけています。看護師をしている保護者は「ふだんは見せられない親の職場を見学できるいい機会になりました。子どもは自由研究にするとはりきってい るんですよ」と言います。
病院探検は良い刺激
午前中は病院職員が先生となり、食べ物やバイ菌の話をしてくれました。手洗いを終え、管理栄養士の片山奈津希さんが献立を考えたお弁当をみんなで仲良く 食べると、午後からは待ちに待った病院探検。見慣れない医療機器に子どもたちは興味津々。「この機械は何に使うの?」「(X線検査で使う)防護エプロンの 重さは何キロ?」など質問が次々出てきます。
毎年病院探検に協力している検査技師の田畑宏樹さんは「救急車の中を見学したり、腹部エコーを体験したり、学校の授業では体験できないことばかり。病院 探検は子どもたちにとって刺激的な体験になっているようです」と話します。
職業選択のきっかけに
大好評のちびっ子保健学校ですが、少子化の影響もあるのか、参加者数は減ってきています。「もっと地域に結びついた保健学校にせないけん」と意気込む髙 﨑さん。多くの人にちびっ子保健学校を知ってもらうため、最近は地域の児童館や学童保育にも声をかけています。
髙﨑さんは「ここに来た子どもが、医療に関わる職業に興味を持ってくれたら嬉しい」と。この日、さっそく「私、看護師になってもいいかも」と話す女の子がいました。
文・寺田希望記者
写真・酒井 猛
新潟 ひとり暮らしを支える昼食会
新潟勤医協健康友の会 新津総支部・荻川西支部
「いただきます」。ボランティアの笹川さん宅の家庭菜園で収穫された野菜もテーブルに |
新潟勤医協・老健施設おぎの里のボランティアさんたちが「日中ひとりで過ごしている高齢者を支 えたい」とはじめた荻川西支部の「ふれあい昼食会」。七〇歳以上の友の会員に呼びかけ、月一回、新潟市のコミュニティーセンターの和室で運営しています。 会費は四〇〇円。食事はボランティアさんの手作りです。
食べながら、つながる場
七月一八日に開かれた昼食会には、一五人が集まりました。食事の前には、地域でソフトダンベルを教えている西潟範子さんのリードでストレッチ体操。昼食 メニューは夏野菜カレーとフルーツヨーグルト、ピクルスです。毎回、おぎの里の管理栄養士・五十嵐幸子さんが旬の素材を使った栄養バランスのいい献立を考 えます。参加者には、カロリーと塩分量、作り方を載せた紙を渡しています。
「毎月の昼食会が楽しみ」と話すのは、丸山枡美さん。息子さんの家族と暮らしていますが、日中はひとり。夕食を作る日もあるため「作り方を配ってもらえ るからね、これを見ながら家で作るんだよ」と。桃井敬三さんも「食事をしながら自然につながりを持てるのがいい」と、昼食会の開催を喜んでいます。「月に 一度集まれば、お互いの安否確認にもなります。年をとれば不安はつきものでね、元気なときはなんともなくても、具合が悪くなるとパニックになることもあ る。だから、こうやってつながりをつくっておくことは大事」と桃井さん。日常の安心にもつながっているようです。
“つながり”もっと広げたい
この日で一四回目となった昼食会。他の支部が開催する昼食会を見て、「この地域でもはじめたい」と模索したのは荻川西支部宮本班の班長・宮本栄子さんで す。管理栄養士に献立作りを、おぎの里のボランティアさんに食事作りを依頼しました。「おぎの里の協力と、みんなが二つ返事でひきうけてくれたおかげで開 催できたのよ」と目を細めます。
宮本さんは「参加者に喜んでもらえる活動をすることは、大事なこと。開催回数を増やしてという要望もあるし、『参加はできないけれど』と野菜を提供して くれる方もいる。縁があって友の会員になった方にもっと呼びかけて、つながりを大事に広げたい」と語りました。
文・宮武真希記者/写真・五味明憲