くすりの話 158 薬の依存について
Q:「医師が処方した薬でも依存症になることがある」って本当?
A:医師が処方した薬であっても、精神安定剤や睡眠薬、頭痛薬などを、指示された量より多く服用したり、急に自分の判断で服用をやめたりすることで、依存症になることがあります。
依存症になると、薬を服用してから効果が切れはじめる頃に、「薬が欲しい」という強い欲求が現れます。そして、その欲求がコントロールできず、必要でないときにまで薬を服用してしまうようになります。
また、依存症で薬の乱用を繰り返すと、不整脈や記憶障害など、薬による副作用を引き起こす原因にもなります。
Q:依存症になるとどんな症状が出るの?
A:大きく分けるとふたつの症状が挙げられます。
ひとつは「身体依存」と言い、薬を服用していないときに起こる「離脱症状」(不眠、イライラ感、不安感、手の震え、幻覚、錯覚など)が現れます。この不快な症状を避けようとして、服用回数や服用する量がさらに増えてしまうことがあります。
もうひとつは「精神依存」です。薬を服用しないと不安になり、「薬を飲まないと症状がひどくなる」という思い込みが激しくなり、過度な不安に駆られてしまうことがあります。
いずれの場合も依存症というだけにとどまらない、有害なもの(医薬品の投与などにより発生する、予期せぬ症状や病気)に発展することが多く、注意が必要です。
Q:治療法は?
A:一番の治療法は、原因になっている薬の服用をやめることです。しかし、一度依存症になってしまうと、そこから抜け出すのは非常に困難です。
また、急に服用をやめると依存症が悪化することもあるため、医師の指示のもと、徐々に量を減らすなどの正しい治療を受けることが重要です。
そのほかに、問題の薬を治療として飲み始めた根本的な原因に対してカウンセリングを実施したり、入院して治療をおこなったりする場合もあります。また、 家族や周囲の協力、同じ境遇にある仲間と悩みを打ち明けあうことなども、治療法のひとつと言えます。
医薬品だけではなく、市販薬の中にも依存性のある薬があります。「市販薬だから少し多めに服用しても大丈夫」などと考えずに、きちんと用法・用量を守りましょう。
気になることがあれば遠慮せず、医師や薬剤師にご相談ください。
いつでも元気 2013.8 No.262