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いつでも元気

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元気スペシャル 「看護師になりたい」気持ちに寄り添って ヘルスコープおおさか・高校生1日看護師体験

 全国各地の民医連事業所で、高校生対象の「一日看護師体験」がとりくまれています。「看護師になりたい」と目を輝かせる高校生たち。体験を通して、「看護師っていいなという気持ちが強くなった」と好評です。
 法人全体でこの企画にとりくむ生活協同組合ヘルスコープおおさかを取材しました。

学年ごとに体験コースを設定

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「痛くないですか?」と声をかけながら足浴を体験

 ヘルスコープおおさか(大阪市)では今夏、大阪府下二四校から二八〇人をこえる高校生を受け入 れました。高校生の夏休みにあたる七月二三日~八月八日にかけて、計八日の体験日を設定。年々参加者が増えていることから、昨年からは学年ごとにコースを 設けて看護師体験を実施しています()。
 この企画には、同法人の看護学生委員はもちろん、病院や全診療所の職員も参加。看護師だけでなく他職種や看護奨学生も関わっています。地域の組合員さん も毎回参加して受付や応援のメッセージを送るなど、企画を支えています。
 八月六日、うえに生協診療所での看護師体験に訪れたのは二年生の三人。看護師をめざすきっかけは「入院したときに看護師に優しくしてもらったから」「看 護師をしている母の姿をみて」「東日本大震災の被災地で救援活動をする看護師を見て、自分も被災者の力になりたいと感じたから」と語ります。

表 学年ごとのコース

1年生(ひよこコース)
病院で包帯・血圧計・点滴の
実際や体のしくみなどを学ぶ

2年生(うさぎコース)
診療所見学

3年生(きりんコース)
病棟見学など

 田中智美看護師は「地域の方の生活に近いのが診療所です。一カ月に一〇〇〇人以上の患者さんが 受診されるんですよ」と説明しながら、診療所内を案内します。診察室で注射器や点滴液などを手にとる三人の表情は真剣です。「注射って難しいですか」との 質問に「そうやねえ。人間って一人ひとり顔が違うでしょう。それと同じで、血管にもいろんな血管があるの。経験を積まないと上手にならないわね」と田中さ ん。「看護師さんのやりがいは何ですか?」と問われると「病気から回復した患者さんに“ありがとう、助かったわ”と言われることかな」。

患者の立場に立つ看護師に

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うえに生協診療所。レントゲン室で説明する田中智美看護師(左)

 この日の看護師体験では、組合員の藤原一郎さんが「患者の願い」を三人に語りました。
 「人間はね、病気になったり年をとったりすると、人手を借りないと生活できなくなります。みんな一人では生きていけなくなるし、人手を借りることは当た り前のことです。でもね、人に世話になることには、誰しも抵抗があります。みなさんには患者さんの立場に立って、患者さんの自尊心や気持ちを大切にする看 護師さんになってほしい。その人がどんな生活をしているか、退院した後にどのような家で生活するか、仕事や家族のことも含めてよく知ろうとすることが大事 です。ぜひ看護師さんになって、ここで働いてくれたらうれしいなあ」
 体験後、三人は「患者さんの気持ちをくみ取れるような看護師になりたい」「来年も参加したい」と話してくれました。

「ぜったい看護師になりたい!」

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「うちの病院は子育てしながらでも働きやすいですよ。ぜひいっしょに働きましょうね」と、高校生に話す入江順子看護師。

 八月八日は三年生を対象に実施。コープおおさか病院に六校から三一人の高校生が参加しました。 内視鏡の検査室や手術室などを見てまわったり、血圧測定を体験。病棟では水野俊和医師(同法人理事長)が「看護師さんになりたいと思っている高校生が来ら れましたよ」と入院患者さんに紹介。高校生は入院患者さんの足浴も体験しました。
 病院の見学後には、先輩看護師からアドバイス。「私が看護師になってよかったと感じる瞬間は“ありがとう”と言って退院される患者さんの姿を見るときで す。まだ看護学生だったころ、“患者さんの事を一番に考えて”と言われました。この言葉は心に刻んで、今でも忘れずに仕事をしています」と看護学生委員の 新崎美枝さん。
 奨学生の甲本千津嘉さんも高校三年生のころにどんな勉強をしていたか、受験に向けた対策を体験とともに語り、「(民医連の奨学生になれば)他校の看護奨 学生と交流したり、病院のイベントに参加できたりして、楽しいですよ。みなさんもぜひコープおおさか病院の奨学生になってください」と訴えました。組合員 で鶴見南支部長の片山孝江さんは、「看護師になりたいと思っているみなさんとつながりができてとてもうれしいです。ぜひこの病院で働いてくださいね」と話 しました。

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アイスブレイクのクイズで笑顔がこぼれる高校生たち

 最後には、ヘルスコープおおさかの歴史や看護を紹介する映像を視聴。入院患者さんの一〇〇歳を祝った手作り誕生日パーティー、「三〇年一緒に暮らしてき たが、式を挙げたことがない」という末期がんの患者さんの結婚式を病棟でおこなった実践や、東日本大震災の被災地復興に力をつくす支援活動などを紹介した 映像に、涙で目をうるませる参加者の姿も。
 体験を終えてナース服で記念撮影をする高校生たち。「今日参加して、ぜったい看護師になりたいって思った! 勉強がんばろうね」との声が響きました。

職員自身が初心を思い出す機会に

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血圧測定を体験。「まずは脈が触れるところを見つけてね」

 高校生一日看護師体験にとりくむことは、職員自身が初心を思い出したり、看護のやりがいや日頃の医療・看護に確信を深める機会になっています。
 「高校生の“看護師になりたい”という気持ちに寄り添い、その思いを支えようと法人全体でこの企画をつくりあげています。今後の看護師確保につながるよ う、これからも努力を続けたい」と佐藤睦子看護学生担当・教育担当師長。毎年六月と九月に看護学校試験に向けた模擬面接を実施しており、今秋からは受験勉 強を支える無料塾も開催します。
 「“患者さんのために何ができるか”を一番に考えて、いつも看護をしています。しんどいこともたくさんあるけれど、看護師になってよかったです。将来、 みなさんといっしょに働くことができれば嬉しい」と高校生に語る看護学生委員の岡崎命(いくる)さん。
 一人でも多くの高校生が民医連看護師としてともに働ける日が来ることを願って、「看護師になりたい」という思いに寄り添うとりくみは続きます。
文・宮武真希記者/写真・豆塚 猛

いつでも元気 2012.10 No.252