Dr.小池の世直し奮戦記 消費税「地方税化」のからくり 行きつく先は大増税・地方破壊
橋下徹大阪市長ひきいる「大阪維新の会」が七月五日、総選挙向けの政策集「維新八策」を発表しました。その中身をみると、民主、自民、公明のめざす消費税大増税と、同じ道に通じることがわかります。
結局、5%増税が必要に
「維新八策」は「消費税の地方税化」と「地方交付税制度の廃止」をセットで打ち出しています。 橋下氏は「消費税は地方税にする。国の地方交付税は引き揚げる。この二つをやることで国の仕組みはがらっと変わる。大阪維新の会はこれを最大の争点に掲げ て皆さんに判断していただく」(六月二八日)と述べています。
ですが、もし橋下氏の言うように消費税を地方税化し、地方交付税を廃止してしまったら、どんなことが起こるでしょうか。
今でも消費税は、五%のうち一%が「地方消費税」として地方財源に回っています。残り四%をすべて地方税に回すと、あらたに約一〇兆円の財源が地方に移ることになります。
一方、地方交付税と「臨時財政対策債」(交付税の振り替え措置)を合わせると二三兆円を超えます(二〇一二年度)。「地方交付税制度の廃止」でこの二三 兆円が消えてしまえば、消費税の「地方税化」で一〇兆円増えても、残り一三兆円もの大穴があきます。この穴をすべて消費税で埋めようとすると五%引き上げ 分に相当するため、民・自・公三党の増税案とぴったり一致するのです。
地方はいっそう“焼け野原”に
消費税の地方税化は、地域の格差をいっそう拡大する点でも深刻です。
消費税の税収は大消費地である都会に集中します。一方、地方交付税は、財政力が弱い地方に厚く配分されます。したがって地方交付税を消費税に置き換えれば、地域間格差が大幅に拡大してしまうのです。
かりに消費税の全額を地方税化し、地方交付税を廃止するとどうなるでしょう。全国平均では人口一人当たり一〇万円の税収減となりますが、東京都では八・ 二万円税収が増えるのに対して、島根県では四七・六万円も減ってしまいます。財政の厳しい自治体は、消費税率を大幅に引き上げざるをえなくなります。こん なことになれば、住民が税率の低い地方自治体をめざして県境を越え、買い物に走り回るなんてことも起きかねません。
「維新八策」には「消費税の地方税化」に続いて「自治体破たん制度の創設」や「道州制が最終形」との方針が並んでいます。地方自治体に消費税増税競争を させ、住民が住めなくなった自治体は“破たん処理”し、最終的には今の都道府県制度を廃止して、道州制にすすんでいくのがねらいです。
地方の財源をどう確保するか
地方分権、地方自治の拡充のためには、住民のくらしをまもるために、国の地方交付税を増やし て、地方自治体の財源を保障・調整する機能を回復・強化しなければなりません。「地方消費税」を口実にした消費税増税は、くらしを壊し、地方自治体を壊滅 させてしまいます。こんな未来を受け入れることはできません。
橋下市長は最近「野田首相はすごい。確実に決める政治をされている」と持ち上げはじめました。民・自・公に“維新”も加わった翼賛体制など、まっぴらごめんです!
いつでも元気 2012.9 No.251
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