Dr.小池の世直し奮戦記 どさくさまぎれの社会保障解体“新法”許すな
三年前の政権交代の直前、野田佳彦さんは、街頭でこんなことを訴えていました。
「マニフェスト、イギリスで始まりました。ルールがあるんです。書いてあることは命懸けで実行する。書いてないことはやらないんです。それがルールです。
書いてないことを平気でやる。これっておかしいと思いませんか」
私も本当におかしいと思います。
ところが野田さんは、マニフェストに書いた「後期高齢者」医療制度廃止などはやらず、逆に書いていなかった消費税増税に「命を懸ける」と言いだしまし た。そして自民・公明と談合して衆議院で増税の採決を強行。「ふざけるな!」と言いたくなります。
国の責務はどこへ?
それだけではありません。民主・自民・公明の三党は、消費税増税のどさくさまぎれに、社会保障制度の解体につながる「社会保障制度改革推進法案」という新法を提出し、これも衆議院を通してしまいました。
今までは、社会保障制度全体のことを定めていたのは日本国憲法第二五条だけで、国民の生存権を保障するための国の責務を明確にうたっていました。ところ が今度の“どさくさ新法”では、生存権を守る国の責任は放棄されています。憲法二五条に反する「違憲立法」というほかありません。
この法案は、社会保障改革の基本は「自助、共助及び公助」の適切な組み合わせだと言いつつ、「家族相互及び国民相互の助け合いの仕組みを通じてその実現 を支援していく」としています。国の責務はどこかに消え失せているのです。
「国民相互の助け合い」ならば、民間の医療保険や生命保険と変わりありません。しかし生存権は、国民の基本的人権です。国が責任を持ち、所得再配分機能 によって「能力に応じて支える」ことが社会保障の大原則のはず。この大原則を根底から否定するのがこんどの“新法”です。
国民皆保険制度の変質も
実は、あの「後期高齢者」医療制度を定めた「高齢者医療確保法」も、基本理念を「自助と連帯の精神に基づき(第二条)」としていました。“新法”で小泉政権時代の“精神”が完全によみがえったと言えそうです。
自民党の福田内閣・麻生内閣や民主党政権が掲げてきた「社会保障の機能強化」という言葉もなく、医療も介護も「給付の範囲の適正化」と、切り捨てを露骨 にうたっています。小泉内閣時代から強調されてきた「国民皆保険制度の堅持」という言葉すら見当たらず、わざわざ「医療保険制度に原則として全ての国民が 加入する仕組みを維持する」と、まわりくどーい表現に。これでは「国民皆保険」の意味は、ただ「保険証が配られる」だけになり、保険のきかない医療が拡大 するなど、患者負担の大幅増につながる危険があります。
怒りの声を挙げよう
こんな重大な法案を密室協議で決めて、国会ではまともに議論もしないなんて! 民主も自民・公明も国民の暮らしや日本の将来のことなんてそっちのけで、「いつ選挙をやれば自分たちに有利になるのか」ぐらいしか考えていないのではないでしょうか。
こんな人たちにこれ以上日本を任せるわけにはいきません。怒りの声を挙げましょう!!
いつでも元気 2012.8 No.250