くすりの話 142 子宮頸がんワクチンの効果
Q:子宮頸がんワクチンについて教えて
A:子宮頸がんの原因は、そのほとんどがHPV(ヒトパピローマウイルス)だとされています。HPVは100種類以上存在し、性行為を通じて感染するとされています。
このウイルスは多くの女性が一度は感染し、自然に治るありふれたウイルスですが、持続して感染すると数年間かけてがんになります。現在、このHPVに対 する免疫をつけて、子宮頸がんを防ぐ効果をねらったワクチンが開発され、2種類が製品化され使用されています。
Q:2種類のワクチンはどう違うの?
A:子宮頸がんになるとされている、代表的なHPVの「16型・18型」に対応している「サーバリックス」と、尖圭コンジローマ(いぼができる)を起こす代表的な「6型・11型」にも対応した「ガーダシル」という製品があります。
ガーダシルは16型の成分が2倍入っていることや、「免疫持続期間」に違いがあります。免疫持続期間はサーバリックスのほうが8.4年と長く、ガーダシ ルでは4年というところまでは確認されています。しかしそれ以降、効果が続くかどうかははっきりとわかっていません。
感染するウイルスの型によっても、ワクチンの効果に違いが出る可能性があります。アメリカ人は感染しているHPVのほとんどが16型、18型なので効果 はほぼ100%です。しかし日本人では、HPV保有者の約30%が違う型のウイルスに感染しているため、効果は70%程度になると言われています。
副反応にも注意が必要です。アメリカの「ワクチン有害事象報告システム」に2011年6月までに寄せられた“ワクチン接種後7日目までの死亡者”では、 サーバリックス4件に対し、ガーダシルは98件でした。また、インドではガーダシルを120人に接種した後、4人が死亡する事態となったため、その後は接 種中止になっています。
他にも両ワクチンでは、接種後に意識を失ったり、接種部位が大きく腫れてしまったりすることもあります。
Q:費用が高いと聞いたけれど…
A:現在、公費で接種できる対象者は、中学1年生(13歳)相当から 高校1年生(16歳)相当の方だけで、例外的に小学6年生と高校2年生も認められます。子宮頸がんワクチンは、他のワクチンと比べて非常に高額です。3回 の接種をおこないますが、自費では合計約5万円です。ワクチン価格自体が他のワクチンと比べて異常に高いとも指摘されており、公費助成を求めると同時に、 高すぎるワクチンの値段を適正価格まで下げる運動も必要です。
もっとも大事なことは、「ワクチンを接種したから」と安心せず、定期的に子宮がん検診を受けて早期発見に努めることだと思います。
いつでも元気 2012.1 No.243
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