くすりの話 141 一般用医薬品を買うときに気をつけることは
Q:一般用医薬品って何ですか?
A:医薬品は大きく2つに分類されます。
1つは医療用医薬品で、医師の処方せんを必要とするものです。患者の症状や体質に合わせて医師が処方するもので、一般用医薬品よりも効果が強く、副作用の危険も大きいものです。
もう1つは一般用医薬品で、「市販薬」などと呼ばれます。医師の処方せんは必要なく、誰でも薬局やドラッグストアなどで購入できます。
Q:処方せんが必要な薬が売られていましたが
A:医療用医薬品の一部が、一般用医薬品として認可され、街中の薬局などで購入できるようになっています。これらはスイッチOTC(over the counter =「カウンター越しに」処方せんなしで買えるという意味)とも呼ばれています。
スイッチOTC は、本来医師の処方せんを必要としていたものですから、当然、副作用の危険も大きくなります。しかし公的医療支出を抑えようという国の政策のもとで、風邪 薬、胃腸薬、水虫の薬などが一般用医薬品として認可されてきています。テレビコマーシャルで有名な「ガスター10」(胃粘膜保護剤)や、最近一般用医薬品 に認可された「ロキソニンS」(解熱消炎鎮痛剤)はその例です。
スイッチOTC によって「自分で不調を手当てできる幅が広がった」と言えば聞こえはいいのですが、重い副作用の頻度も増えることが予想されます。
Q:どんなことを注意すればいいの?
A:一般用医薬品を購入する際は、薬剤師とよく相談して購入しましょう。風邪の場合でも「鼻水」「のどの痛み」「咳」「熱」などの症状をくわしく話しましょう。
ふだん飲んでいる薬、過去の副作用の症状やアレルギー、便秘がち、胃が弱いなどの体質、現在医師にかかっている病気なども必ず話しましょう。たとえば、前立腺肥大や緑内障は、風邪薬を服用すると悪化することがあるからです。
また、解熱消炎鎮痛剤を服用すると、胃の粘膜が荒れるなどの症状を起こすことがあります。先述の「ロキソニンS」は、従来の一般用医薬品よりも効果が強いため、胃潰瘍などを起こす危険も大きくなります。
また、一般用医薬品で症状が緩和されて「よくなった」と思っていると、症状がすすみ、重篤な病気が見逃されることもあります。薬を飲んで症状が治まるか らと安心せずに、症状が重い、長引く、繰り返すなどの場合は、市販薬ですませずに、必ず医療機関を受診してください。
いつでも元気 2011.12 No.242