くすりの話 138 「虫さされ」の正しい対処法
Q:「虫さされ」とは?
A:夏場の虫さされといえば、代表的なのは「蚊」によるものでしょう。軽いかゆみなら、市販のかゆみ止めで様子をみます。
さされた場合は、どうしてもかいてしまいがちですが、発疹部に刺激をあたえると、赤くはれた部分が広がってしまうので、できるだけ我慢してかきむしらな いようにするのが適切です。かきむしることで傷ができ、そこから菌が入って炎症を起こすこともあるからです。
Q:薬の選び方、使用法は?
A:塗り薬は、かゆみを鎮める抗ヒスタミン剤と、炎症を抑えるステロイド剤が代表的です。軽いかゆみには市販の抗ヒスタミン剤だけでもかまいませんが、炎症をともなうかゆみやはれにはステロイド剤が有効です。
傷ができたり、水ぶくれが破れたりしたあとなどは、化膿することがあり、抗生物質が入った外用薬が必要になることもありますので、医師・薬剤師に相談しましょう。
塗り薬には軟こう、クリーム、ローションなどのタイプがあります。クリームやローションは軟こうにくらべて皮膚に浸透しやすい点がメリットですが、傷が あったり化膿したりしている場合には、症状を悪化させるおそれがあるため、軟こうを選んだ方がよいでしょう。
Q:注意が必要な虫さされは?
A:ハチ、毛虫、クモなど、毒を持った虫にさされた場合は、すぐに適切な処置をしなければなりません。強い炎症が起きたり、時には全身的なアレルギー反応が起きたりすることもあるため、十分な注意が必要です。
このような虫にさされた場合は、まず患部をよく洗い流して清潔にします。毒針や毒毛が体内に残っている場合は、毒針は毛抜きで、毒毛はセロハンテープや ガムテープなどを軽く皮膚に押し当てて取り除きます。その後、毒を絞り出すようにして患部を洗い流した上で冷やし、なるべくかかないようにしましょう。か きむしってしまうと、傷ついたところから菌が入って炎症がひどくなることがあります。
Q:緊急に受診が必要なのはどんなとき?
A:毒をもつ虫に2度目にさされると、アナフィラキシーショックと呼ばれる、強いアレルギー反応を起こすことがあります。1度目にさされたときに体内に免疫のはたらきをする物質が作られ、これが過剰な反応を起こすためです。
全身のじんましん、呼吸困難、発熱、血圧低下などの症状が、さされて数分から数十分で現れます。場合によっては死に至ることもあるため、このような症状が出たら、すぐに救急車を呼びましょう。
いつでも元気 2011.9 No.239