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いつでも元気

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くすりの話 136 薬害「イレッサ」訴訟について

Q:「イレッサ」訴訟とは?

A:「イレッサ」は「夢の新薬」「副作用の少ない抗がん剤」 「通院治療で使える」などと発売前から過大な宣伝がされ、肺がん治療薬として販売されました。薬事法は承認前の宣伝を規制していますが、私も当初「早く承 認されて保険適用になったらいいのに」と心待ちにしていました。
 ところが発売後すぐに、間質性肺炎など重篤な副作用で、多くの肺がん患者さんが亡くなりました。医薬品は販売後に重篤な副作用死が判明した場合、早急に 対応すべきですが、「イレッサ」については対応が遅れた上に、さらに不十分な対策しかとられず、昨年9月までにわかっているだけで819人もの方が亡くな りました。
 これだけの甚大な被害を起こしているにもかかわらず、輸入販売元のアストラゼネカ社と厚労省は、「肺がん患者は治療しなければいずれ死ぬ」と言わんばか りの態度でした。患者・遺族らは「がん患者の命の重さを問う」「抗がん剤の認可基準を是正する」ことなどを求めて、両者を相手取り、2004年大阪・東京 の両地裁に提訴しました。

Q:大阪・東京地裁ではどんな判決が?

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薬害をくり返すなと訴える、近藤昭雄原告団長(今年1 月26日、厚労省前)

A:2011年2月25日に大阪、3月23日に東京で判決が言い 渡されました。原告はいずれの地裁でも、「イレッサ」の効果は科学的根拠がないと訴えてきましたが、残念ながらその主張は認められませんでした。しかし、 アストラゼネカ社に対しては「添付文書による注意喚起が不十分であった」とし、有罪判決が言い渡されました。
 国に対しては判決が分かれました。大阪地裁では国は無罪に。しかし、「企業に対する行政指導が不十分であったが、著しく不合理であったとは言い難い」と ほとんど有罪に近い判決内容でした。東京地裁は「国が確実に行政指導を行う責務がある」と国を断罪しました。
 アストラゼネカ社と国は、判決を無視し控訴しました。今後は高等裁判所で争われることとなりますが、東西の原告・弁護団・支援の会では早期解決をめざし、裁判所による和解勧告を求める署名にとりくもうと準備中です。

Q:今後の課題は?

A:この裁判はこれまでの薬害訴訟と大きく違い、現在も使用中の薬剤をめぐる訴訟です。「イレッサ」が肺がん治療に有効で、副作用の少ない薬だと考えている医師や患者さんもいるため、非常に困難な課題を抱えている訴訟といえます。
 しかし、「新たな薬害を防ぐ」「被害を拡げない」ために、私たちはなんとしても勝訴しなければと考えています。私たち薬剤師も安心して患者さんに薬を渡 せるようにするために、声を上げていきます。イレッサ訴訟の全面早期解決を求める運動に、ご理解とご協力をお願いします。
■薬害イレッサ訴訟大運動大阪実行委員会(06-6312-8155)
■薬害イレッサ東京支援連絡会(03-3352-3663)

いつでも元気 2011.7 No.237