地震被災者支援の制度 保険証なしで医療・介護受けられる
厚生労働省は三月一五日、東日本大震災・長野県北部地震の被災者は、保険証が手元になくても医療機関を受診でき、窓口負担もその場では払わなくてよいとする措置を都道府県に通知(五月末受診分まで)。
対象は表1の住民で、かつ(1)住宅が全壊・半壊(全焼・半焼)またはこれに準ずる被災、(2)主たる生計維持者が死亡したり、重篤な傷病を負った(ま たは行方不明)、(3)主たる生計維持者が業務廃止・休止に追い込まれた、(4)主たる生計維持者が失職し収入がない、といういずれかの条件に当てはまる 人。結核、身体障害者、難病などの手帳・患者票などがなくても受診できます。
医療機関の窓口では、氏名、生年月日、事業所名、住所、加入している医療保険、連絡先などを口頭で伝えるだけ。被災したことを自治体が証明する「罹災(りさい)証明書」も不要です。
窓口負担は後日、加入する医療保険が減免・猶予などの措置をとります。福島第一・第二原発事故で退去・屋内待避対象に指定されている地域の住民も、指定が解除されるまで同じ措置を受けられます。
介護保険証についても同様で、保険証がなくてもサービスを受けられ、利用料も猶予してもらえます。
弔慰金、援護資金など
他にも不十分ながら、今回の震災で被災者が活用できる制度があります。主なものを紹介します(※罹災証明書が必要になる場合も。制度の詳細は市町村や県などに確認を)
■災害弔慰金
【受給資格のある遺族】配偶者、子、父母、孫、祖父母
【支給額】生計維持者が死亡 五〇〇万円を超えない範囲で支給/その他の方が死亡 二五〇万円を超えない範囲で支給
■災害障害見舞金
【受給者】地震により、重度の障害を負った人(両目失明、常時介護が必要になった、両腕の肘から先を切断、両脚のひざから先を切断など)
【受給額】生計維持者が障害を負った場合 二五〇万円を超えない範囲
/その他の方が障害を負った場合 一二五万円を超えない範囲
■災害援護資金の貸与
【受給者】地震により負傷、または住居・家財に被害を受けた人
【貸付限度額】三五〇万円(所得制限あり)
住宅・生活再建の制度
■被災者生活再建支援制度
【受給者】災害により住宅など生活基盤に著しい被害を受けた世帯
【支給額】次の二つの支援金の合計(一人世帯の場合、四分の三の額に)
(1)基礎支援金 住宅全壊等=一〇〇万円、大規模半壊=五〇万円
(2)加算支援金 住宅の再建方法に応じて。建設・購入=二〇〇万円、補修=一〇〇万円、賃借(公営住宅を除く)=五〇万円
■住宅の応急修理制度
【受給者】地震により住宅が半壊し、自ら修理するお金がない世帯。居室、台所、トイレなど日常生活に必要最低限の部分を応急修理。
【限度額】五二万円(ただし支給はお金ではなく、現物給付)
■応急仮設住宅への入居
【対象者】住居が焼失・半壊、住居がない、自らの資力では住居を確保できない人など
■生活福祉資金の貸与
【受給者】低所得世帯、障害者世帯、要介護者のいる世帯
【貸与限度額】二五〇万円
表1 窓口負担猶予の対象自治体 |
|
【青森県】 |
八戸市、おいらせ町 |
【岩手県・ |
全市町村 |
【福島県】 |
福島市、会津若松市、いわき市、南相馬市、大熊町、双葉町、伊舘村など、13市23町11村 |
【茨城県】 |
水戸市、日立市、土浦市、つくば市、東海村など26市6町2村 |
【栃木県】 |
宇都宮市 |
【千葉県】 |
旭市、香取市、山武市、九十九里町 |
【長野県】 |
栄村 |
【新潟県】 |
十日町市、上越市、津南町 |
4月6日、医療・介護の窓口負担・利用料を原則国が全額負担する方針と報道が。詳しくは市町村へ
いつでも元気 2011.5 No.235