被災地復興に向け、心ひとつに! 全日本民医連会長 藤末 衛
岩手、宮城、福島の被災地を視察した藤末会長(3月25日、全日本民医連会長室で) |
二〇一一年三月一一日、人びとの記憶に長く突き刺さったまま残るであろう東日本大震災が発生しました。お亡くなりになった共同組織、患者、利用者、職員、すべてのみなさんの御冥福をお祈りいたします。
巨大な地震、とてつもない津波、そして原発の事故が重なりました。甚大な被害が同時に多発し、広範囲で複雑な災害となっています。震災直後の救急救命活 動や、そのあとの避難所での医療確保は、震災被害による移動困難や医薬品不足がありながらも、行政と多くの医療団体の協力、努力がなされています。
私たち全日本民医連は、地震直後から被害の大きかった岩手、宮城、福島、茨城にある民医連の事業所をささえ、そしてすべての被災者が救援されるよう他の 団体と協力して全国から医療・介護チームを被災地に送り、活動しています。
今回の大震災による被害は、規模が大きく広範囲で、復興まで長期間を要するでしょう。多くの被災者は、津波によって遺体すらない家族の死という現実を受 けとめきれずにいます。家やこれまでの財産、思い出の品すら失い、将来への不安を募らせています。高齢社会の中で、地震では命をとりとめたものの、過酷な 避難生活の中で死亡するという「震災関連死」も発生しています。
津波に引き続く原発事故の避難者は、息つく暇もなく、帰るめどもなく、故郷から遠く引き離される日々を強いられています。
私たちは、憲法二五条を持つ国の人間として、組織として、日々刻々と変わる被災地の現状から目を離さず、すべての被災者を視野に入れ、人権擁護の視点で 医療・介護の活動をすすめます。被災者に必要なことは、心身の状態悪化を防ぎ、健康を取り戻すケアです。そのためには少しでも安楽な環境、睡眠、温かい食 べ物と入浴など、普通の生活に近づけるアイデアと行動が必要です。地域で、避難所で、共同組織・職員がともに協力し、行動しましょう。
私は一六年前、神戸で阪神大震災を経験し、全国の仲間とともに救援・復興活動をすすめてきました。振り返り、いま思うことは、「物」の復興よりも「人」 の救済と復興が第一と訴え続けて行動してきた、そのことが不十分ながらも、被災者救援に関わる法律の実現、前進にもつながってきたということです。
全国の民医連の仲間のみなさん、共同組織のみなさん、被災者に寄り添い、心ひとつにともにふんばりましょう。
いつでも元気 2011.5 No.235