くすりの話 132 子どもの「熱冷まし」
Q:解熱剤はあまり飲ませない方がいいですか?
A:発熱は、体内に侵入したウイルスや細菌とたたかうために人体に備わった防御反応であり、発熱自体が病気ではありません。発熱は、体の免疫反応が正常に働いている証拠なのです。ですから「解熱剤」で熱を下げることは、体の免疫反応の働きを弱めることになります。
また、解熱剤の選択を誤ると、ライ症候群やインフルエンザ脳症などの副作用のほか、ぜん息発作を引き起こすという報告もあります。
「高熱が続くと、脳に障害がでないか」と心配される方もいますが、基本的に高熱が障害を引き起こすのではなく、高熱の原因になっている髄膜炎や脳炎などが脳の神経障害などの後遺症を起こすのです。
発熱は病気の指標になるため、安易に解熱剤を使うのではなく、重篤な病気が潜んでいないか十分に経過を観察することが重要です。
Q:正しい飲ませ方、注意点は?
A:発熱とは、一般にわきの下で測って37.5℃以上、あるい は平熱より体温が1℃以上高い場合をいいます。38.5℃以上の発熱が続き、機嫌が悪い状態が続いたり、眠れない、食欲が落ちて水分や栄養がとれなくなっ て体力が消耗するようであれば、解熱剤を使った方がいいでしょう。
子どもが服用できる解熱剤は限られています。比較的安全性が高いのは「アセトアミノフェン」です。平熱時にはほとんど体温に影響を及ぼさず、発熱時には 服用後約2時間で効果が現われ、4~6時間持続します。一般的に坐薬の方が即効性はあると思われがちですが、アセトアミノフェンは内服薬、坐薬ともに効果 が現れるまでの時間、効果が続く時間ともに同等と考えられています。
服用後、一時的に症状は緩和されますが、治癒するまでの期間が延びる可能性があるともいわれています。服用は短期間に留め、漫然と使い続けてはいけません。
また、完全に正常体温まで下げる必要もありません。1回の服用で効果がなく、2回目の服用が必要な場合は4~6時間以上の間隔をあけましょう。
Q:冷却ジェルシートの併用は、効果的ですか?
A:高熱時は冷たいタオルで「首のつけ根」や「わきの下」、「足のつ け根」を同時に冷やすと体温が下がり、効果的です。冷却ジェルシートは額の表面を冷やしているだけで、体温そのものは下がりませんが、発熱による不快感が 軽減されることがあります。子どもが嫌がらなければ使用してもよいでしょう。
ただし、乳幼児の場合は冷却ジェルシートがずれて窒息事故を起こしたとの報告がありますので、使用する際には注意してください。
いつでも元気 2011.3 No.233