短期証1年間で1万3000件増 70~74歳 窓口「2割」の方針 後期高齢者医療制度
実施されて二年半以上が経過した後期高齢者医療制度。一〇月四日の「市」の日、東京・巣鴨で街の声を聞きました(写真)。
「自分も『後期高齢者』」という七〇代後半の女性は「少ない年金から否応なしに保険料を天引きされてたいへん。介護保険料も高い」と。
鹿児島県の奄美大島から来た女性は「他人ごとだと思っていたけれど、自分も七五歳に。保険料が増えていくのが不安。廃止してほしい」。
「廃止するというから、民主党に期待して投票したのに」という人も。
当日はあいにくの空模様で人通りがまばら。シール投票は四〇分という短時間でしたが、後期高齢者医療制度の存続に「賛成」一人、「反対」が六二人でした。
保険証取り上げの恐れ
「後期高齢者医療制度廃止は、新制度実施まで待ってくれ」という、民主党政権。しかし待っている間にも害悪は広がっています。
制度実施とともに、保険料滞納者に対する制裁措置が強まっています。
中央社会保障推進協議会と全日本民医連が共同でおこなった短期証発行数の調査では、四一都道府県一万九五七九件(〇九年一〇月)から三万二九六一件(一〇年八月)に増えていたことがわかりました。
後期高齢者医療制度では、保険料滞納者に対し、窓口でいったん医療費を一〇割払わなければならない資格証明書の発行が義務に。それまでは七五歳以上には 禁止されていたものです。このままでは、資格証明書が発行され、高齢者の保険証取り上げが現実のものとなる恐れが。
保険料は増、国庫負担は減
さらに厚労省は一〇月二五日、二〇一三年度実施予定の新制度案について、高齢者と「現役」世代の双方に大幅増となる保険料試算を提示しました。一人当たりの保険料(二〇二五年度)は、七五歳以上の場合、二〇一〇年度に比べて三万二〇〇〇円も増加。
現役世代も、大企業向けの健康保険組合、中小企業向けの協会けんぽで各九万四〇〇〇円、七万二〇〇〇円(ともに労使合計)の増加。国保加入者も三万九〇〇〇円増の試算。一方、国庫負担は減額する方針です。
「凍結」中の七〇~七四歳の患者窓口二割負担についても、新しく七〇歳になった人から順次一割から二割へ引き上げ。「凍結」中は年二〇〇〇億円の国費が 使われていますが、二割にすれば二〇二〇年度には二九〇〇億円の削減になります。
いのちを守ることに、国が責任を持つ政治が求められています。
いつでも元気 2010.12 No.230