後期高齢者医療制度 無保険状態585人 沖縄で 保険料払えず→短期保険証→期限切れで更新ないまま
西銘純恵 沖縄県議会議員 (日本共産党) |
沖縄で五八五人もの後期高齢者が、無保険状態になっていました(三月二日現在)。六月二九日の沖縄県議会、西銘純恵県議の質問で明らかにされました。
無保険状態になっていたのは〇八年度の保険料を滞納した人たち。昨年交付された短期保険証の期限が切れたまま、更新されていませんでした。〇九年一〇月 に同県で発行された短期証は一五四八件、その三分の一以上にあたる数です。
後期高齢者医療制度の問題点の一つとして、民医連などが指摘してきた「保険証のとりあげ」が現実になった形。
◆「受診ガマン」が心配
気がかりは、無保険状態になった人たちの医療です。
同県の広域連合は、「期限切れの短期証で受診しても、窓口負担を一〇割の請求にしないよう医療機関や市町村に確認している」と説明しますが、そういう人 たちの足が医療機関に向かうのか? 民医連加盟の沖縄協同病院に問い合わせてみましたが、期限切れの短期証での相談はない、と。「無保険の人は、よほどで ないと病院に行かない」と西銘さん。
しかもそれは高齢者。持病も多く、病気も重症化しやすい。無保険状態が、命とりにもなりかねません。
◆短期証、発行すべきでない
後期高齢者の短期証は、七都県をのぞき、去年夏から全国で発行されています。〇九年一〇月時点で二万八〇〇〇件余。
厚労省は、保険料の軽減措置を受ける低所得者などには資格書を交付しないよう通知する一方、短期証は保険料徴収を促進するから、と発行を求めています。
しかし、それでは沖縄のような事態が他でも起こる危険性が。保険料は年金からの天引きが基本で、自分で納めるのは、年金が月額一万五〇〇〇円に満たない低年金や無年金の人。滞納者の多くが、悪質滞納者ではなく、払うに払えない低所得者である可能性が高いからです。
西銘県議が相談に乗った「払えない」ケースには「入院費用を捻出するため土地を売ったら、その収入が反映されて保険料が高くなった」ものや、同様の一時 収入で「月額三万円の年金者に五〇万円の保険料の通知がきた」というものまで。なお、この二年で県に寄せられた保険料の支払い相談は、一四〇三件にも。 「沖縄の高齢者は、低年金者が多いんです。どんな低所得者からも保険料をとる後期高齢者医療制度は、やはり廃止を」
(木下直子記者)
◆新・高齢者医療制度 中間案◆ |
いつでも元気 2010.9 No.227
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