いますぐやめて! 後期高齢者医療制度 保険料上げるな!軍事費削れ
100回目迎えた駅頭宣伝 京都・やましろ健康医療生協
「私も“後期高齢者”に仲間入りして三年になります。高齢者のみを囲い込んだ保険制度では、保 険料は高くなるばかりです。後期高齢者医療制度の廃止は、参議院ではすでに可決しました。ただちに廃止し、もとの老人保健制度に戻すべきです。『高齢者に 安心を』というなら、かつての老人医療費無料制度を復活させるべきではないでしょうか」
一月一五日、この冬一番の冷え込みのなか、近鉄大久保駅前に松永忠夫さん(やましろ健康医療生協理事・社保平和委員会責任者)の声が響きます。
この日、二〇〇一年一〇月から毎月途切れることなくおこなってきた駅頭宣伝が一〇〇回に。「安心して、いつでも、どこでも、お金の心配なく医療を受けら れるように」。この願いで、当医療生協の事業所がある宇治市と城陽市、隣接市の二一駅を、各地域の組合員さんや他団体と協力し、宣伝して回ってきました。
記念の一〇〇回目宣伝では、「後期高齢者医療制度廃止」の訴えとともに、京都府にあてた、子どもと高齢者の医療費無料化・軽減を求める「あんしん医療署名」を呼びかけました。
連合老人会や近隣病院と
この間、幅広い層の方々と問題意識を共有し、運動の方向を発信する場となるよう、学習・懇談会 にもとりくみました。後期高齢者医療制度スタートを目前に控えた〇七年一〇月、制度の内容が知られていないなか、京都府保険医協会の後援で、「これからの 日本の医療を考える」シンポジウムを開催。「医療改悪で負担が増え、病気になっても病院に行けない。病気になっている政治を治す“処方せん”を見つけよ う」という気運が高まりました。
以来、約六〇カ所で同様の集まりを開き、一〇〇〇人以上が参加しています。府南部の旧加茂町の連合老人会会長の三氏が呼びかけた学習会へも講師として招かれるなど、幅広い方々との協力もすすんでいます。
「後期高齢者医療制度廃止」呼びかけの署名は、京都府保険医協会会長と、近隣の宇治徳洲会病院、第二岡本総合病院、宇治病院の各院長と、医療生協・あさくら診療所所長が連名で独自に作成。宇治市の全老人クラブ会長に発送しました。
民主が「廃止」請願に反対
昨年一二月、政権交代を踏まえ、「後期高齢者医療制度の廃止を求める意見書」を採択するよう、 年金者組合などと協力して宇治市議会に請願書を提出しました。しかし文教福祉常任委員会では民主党が「長妻厚労大臣が廃止方針を表明している」と意味不明 な反対討論をおこない、不採択に。「総選挙で掲げたマニフェストはウソか」と怒りの声が上がりました。
この一〇年間、みんなで訴え続けてきた「平和・いのち・くらし守れ」。昨年は、財界優先・アメリカいいなりの自公政権を退場させ、核廃絶も新しい局面を迎えました。その一方、貧困や格差が拡大し、長引く不況は出口が見えません。
「年齢で命を差別する後期高齢者医療制度の廃止は待ったなしです。財源がないというが軍事予算は増えている。いのち・くらしを守ること(憲法二五条) と、憲法九条を守る運動は一体のものではないでしょうか」と松永さん。これからも「あんしん医療署名」をすすめていきます。
文・竹田健二(さぽーと ゆう・ゆう・ゆう所長)/写真・豆塚猛
■後期高齢者医療制度廃止の新署名
4月からの保険料引き上げを前に、後期高齢者医療制度廃止に絞った新署名が始まっています。内容は(1)老人保健制度に戻す。(2)その際、保険料の負 担増が生じないよう、国民健康保険への国庫負担を増やす。(3)70~74歳の窓口負担を原則1割にする。(4)国庫負担を増やし、75歳以上の窓口負担 をなくす、です。
■保険料アップに国の抑制措置なし
人口の高齢化に連動して上がる後期高齢者の保険料。実施後初の改定となる4月の見直しで、厚労省は13・8%アップと試算。値上げを抑える予算措置をと ると言明していましたが、一転して後退。広域連合の〝自助努力〟だけに頼ることになりました。世論と運動で値上げ幅を抑えた東京でも、1人当たり平均保険 料は約5%上がる見込みです。
■3カ月超入院の「患者追い出し」「後期」限定やめ全年齢に拡大!?
「後期高齢者特定入院基本料」は、一般病棟で75歳以上の患者の入院が3カ月を超えると、入院料を大幅に削減し、「患者追い出し」をすすめるしくみです。
厚労省は、名称から「後期高齢者」を削除して年齢制限をはずし、全年齢に拡大する意向。4月の診療報酬改定の素案で示しました。
新しい署名用紙 |
いつでも元気 2010.3 No.221