テレビをつけても新聞を開いても、「総選挙」の文字が踊っています。選挙は近い。総裁選がどう、政権交代がこう、わかった顔した「専門家」の解説は、よくわからないけど、「いい加減にして！」と、政治に思うコト、確かに増えたなあ。
　そこで今回、本誌読者からアンケート。総選挙で、１票にどんな思いを込めるのか？　３割以上の人があげた４つのキーワードを中心に、ご紹介。「私ならコレ」なんて、話題にしていただければ。

■ 100年に一度の危機といいながら、９条と25条を忘れた政治。このままではこの国は「限界」になる。（徳島・藤井利一さん）
■ 一部の人間にとって「よい社会」では、いずれ日本は滅びてしまう。（匿名希望）

このままでは日本は「限界」になる

１位　憲法９条を守っていける国であってほしい

■ 二○一○年の憲法改定問題が心配。民主党は「政権交代」といいつつ、中味がどう変わるか何も伝えていない。（匿名希望）

■ 別海町の矢臼別で八〇歳の友人とワラビを採っていた時のこと。自衛隊基地で大砲の砲弾演習がドッカーン！
　友人がいった。「一発（大砲を）撃つのをやめて、俺に年金をくれたら、何年も生活できるのに…」。同感。「税金の無駄使いには腹が立つな」と二人で言いながら、夢中でワラビを採る、山菜は欠かせない。
　「夫婦でやっと一二万円の収入から、介護保険と医療保険料が引かれている。本当にたいへん！　大臣、国民の声を無視するな」と、彼はいった。（北海道・佐々木孝雄さん）

■ 命を守ることにカネをかけない（医療費削減）で、命を奪うこと（軍事費）にカネをかける。どうなっているのかこの国は！（北海道・金倉俊嗣さん）

２位　後期高齢者医療制度は廃止に

■ 年をとったら、あちこち具合が悪くなります。それなのに75歳以上だけ集めて、特別な保険をつくるなんておかしい。高齢者差別ですよ。
　私は88歳。毎年、健診を受けていますが、後期高齢者医療制度になって、無料だったのが500円とられるようになりました。都内の他の区は無料で据え置 いたのですが、中野区だけが法案通りにしたそうです。みんな怒って運動して、無料になりました。しかし検査項目は減った。昨年と同じ項目で検査してもらっ たら、1000円かかってしまいました。結局、健診を受けるな、医者にかかるなということですよね。
　今の高齢者は、若いころは戦争で、戦後は働きづめできました。私は、内モンゴルから引き揚げてくるとき、２歳半だった娘を亡くしました。男たちは現地召 集され、敗戦になると女子どもだけ貨物列車に乗せられて北京まで行き、天津まで３カ月半歩きました。着の身着のまま、寒さと空腹に耐え、路上に寝て。はし かが大流行し、たくさんの子どもが死にました。娘は12月下旬、港を出るまで持ちこたえましたが、船上で息を引き取りました。
　玄界灘が機雷でいっぱいで、博多港につくまで６日もかかったのです。本当に無謀な戦争で多くの命を亡くしました。いまの自公政治も、あの戦争と同じくら いおろかです。ムダな道路や軍事費にお金を使うより命を救え、当たり前じゃありませんか。 （東京都・勝又嘉子さん）

■ 妻が抗ガン剤治療をしていますが、年金生活なのに自己負担が３割で、医療費にも苦しんでいます。「現役並収入」というけれど、夫婦でせっせと働き、今はつましく暮らしているのに、後期高齢者医療制度で差別され、安心して病院にもかかれない。（北海道・尾張正さん）

■ 今年75歳になりました。後期高齢者と政府はいう。勝手に年寄り呼ばわりするな。腹の底から怒りがわいてきます。（匿名希望）

突然ですが国政○×クイズ Q１.65歳を超える日本の高齢世帯の貧困層の割合は22％で、ＯＥＣＤ平均の13.3％を大きく上回る「高齢者貧困国」となっている。 ○か×か？ Q２.経済危機のもと、世界各国では税制を見直し、国民生活をささえる動きが。アメリカでは、今後10年で中低所得者に72兆円減税し、金持ちに60兆円増税しようとしている。 ○か×か？ Q３.消費税導入から20年、国民が払った消費税総額は213兆円。いっぽう、大企業は、総額182兆円も減税された。 ○か×か？ Q４.消費税は、貧乏な人ほど負担が重くなる不公平な税制だ。 ○か×か？

３位　消費税の増税？　とんでもない！

■ バラマキ政策のツケは消費税？　これは何？　何もかも国民に負担させるつもりか。 （愛媛県・池本猛さん）
■ 「福祉」を口実に、消費税アップ？　もうだまされません。 （匿名希望）
■ 消費税はせめて食品にはつけないでほしい。 （匿名希望）
■ 大企業や金持ちには減税して、国民に消費税の増税を押し付けるな！ （匿名希望）

４位　ハケン切り・雇い止めなど　雇用問題の改善を

■ 仲間の身の上で雇用問題を実感しています。私の職場「ケアセンターふれあい」に五月から三人の介護スタッフが加わりました。二〇代、四〇代、五〇代、全員男性で、それぞれが会社の倒産や派遣切りなどを経験してきていました。

「宝」埋もれる社会

　五〇代の藪内さんは、土木の仕事をしていました。阪神大震災後数年で仕事がなくなり、長距離トラックの運転手を数年、そしてその後、派遣社員として工場 で働いていました。やがて偽装請負で働かされていることが発覚、県の労働局に相談すると、工場は藪内さんの会社ごと、報復的に契約を切りました。
　労働組合に入って会社と交渉すると、出てきたのは人事部ではなく、購買部の担当者。派遣労働者は「物品」として扱われていたのです。〇八年一一月に労働 局は期間制限違反だと会社に是正を指導。しかし「人間扱いされていなかったことが、一番悔しい」と藪内さん。「派遣切り」が一気に身近になりました。
二〇代のスタッフは、大学を中退しています。「卒業しても就職先はない。無理して学費を払うのも」といういきさつ。最初に就職した工場が潰れ、次に入った 介護施設の仕事も、「新人に教えているヒマがない」と、シフトに休日が増やされて、退職をよぎなくされました。
　もう一人は四〇歳、勤めていた会社の倒産から様々な人生をたどってきました。
　彼らの一生懸命な働きぶりをみていると、普通の人がこんな目にあっているんだ、同じような人たちが、他にもたくさんいる、と痛感しました。いまの日本の社会は、宝を埋もれさせている！　と思います。

目覚めよ国民

　そういう仲間たちと巡りあい、管理者として切ないのは、彼らを「常勤」として雇えないことです。十数人の職員のうち、常勤は所長の私を入れて三人だけ。 時給は一〇〇〇円にも届かない。四〇歳の職員は日雇い仕事とのダブルワークです。なぜ彼らが報われない？　「一〇〇〇円の賃金が出せる介護報酬を」と、介 護改善の運動もとりくんでいます。総選挙では「目覚めよ国民、いまこそ」といいたいです。
（兵庫県・村上次郎さん）

国政○×クイズ Q５.派遣労働者を使っている企業には、派遣の人を「資材部」や「購買部」で扱っているところがある。 ○か×か？ Q６.日本の失業者の77％が失業保険を受給できていない。先進国中最悪の水準で、２番目に悪いカナダとアメリカの57％を大きく上回る、とILOから指摘されている。 ○か×か？ Q７.「日本の年金は、ＯＥＣＤ加盟国30カ国の中で２番目に低い」という、報告書が出た。 ○か×か？ Q８.「日本は医療費使いすぎ」はウソ。GDPに対する日本の総医療費は、８％で、先進７カ国（G７）平均の11.6％も、OECD平均の9.1％も下回る低さである。 ○か×か？

その他。

■ せめて、診療所の経営が「赤字」にならないような政治をしてほしい。 （匿名希望）

■ 介護保険料の納入書が届きました。開けてびっくり。前年より22％増。サービス利用料も高くなるとのこと。さらに介護施設も整備がすすんでいない。そし て、特養待機者は全国36万人と。先が不安です。政府の皆様、そんな国民の気持ちをわかっていますか？　国民の不安をなくすのが政治の役割だと思うので す。 （前期高齢者）

■ 私は71歳。今後を考えると、いいことがひとつもない、死んだ方がマシ、そんな気になります。安心できる老後、これは夢のまた夢か？ （京都府・加藤節子さん）

■ ぜいたくは望みません。今の年金で、生活がつづけていけるようにしてほしい。（北海道・小松倶子さん）

■ 幸福の条件とは平和であることですが、その平和のもとで、自殺者が年間３万2000人を超えるこの国の異常さは悲しすぎます。（愛知県・水谷暎子さん）

■ 格差の拡大で、医療・教育・介護など、貧乏人には安心できない。誰もが安心してこれらを享受できる世の中にしてほしい。 （匿名希望）

■ 人と自然と地球を大切にする政治を。 （匿名希望）

結論。政治に本気でこの声を

「政治を変えに行こう」とよびかける全日本民医連のビラ

■ 「カネよこせ！」「食わせろ！」「生きさせろ！ （匿名希望）

■ 人間らしく生きられる世の中を、人びとが信じ合える世の中を、それは政治が弱者を守るようならないと、実現しないと思うのです。 （大阪府・小野静代さん）
■ いま、「この国に生まれて良かった」といえる若者はどのくらいいるでしょう。
　「あの時もう少しがんばったら…がんばれなかった自分が悪い」など、「自己責任」にとりまかれている人は多いと思います。国民をがんばらせるだけでは、 政治の意味がない。政治がしっかり役割を果たすよう、私も努力したいと思います。 （匿名希望）

■ 平和な日本、世界のために力を出す政党・人物を選ぼう。こんなおかしな政治家たちが、大いばりしている国ってあるかしら？　国民は本気で投票しなくてはいけないと思う。 （匿名希望）

（クイズの答え）（１）～（８）まで全部○

いつでも元気　2009.8　No.214