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いつでも元気

いつでも元気

介護 4月から見直しされた「要介護認定」制度 とんでもない、と声があがっています

 四月から、介護保険制度に見直しがありました。介護報酬などの改定のほか、介護度を決める「要介護認定」のしくみも変わります。 見直し内容には、関係者から不安の声があがっています。介護されるお年寄りの状態が変わらなくても、介護度がそれまでより軽く判定される恐れがあり、介護 サービスが減らされることに直結する問題だからです。

介護度が軽くなる

 一人ひとりの介護の必要度をみて、介護度を決めるのが「要介護認定」です。認定調査→一次判定→二次判定と作業は三段階。今回このすべての段階で見直しがされました。
 肝心のその内容は、認定調査員から「どこをみても介護度を低くするために改定されたとしか思えない」と声があがるほど(民医連の緊急アンケートより)。

認知症軽視、ハゲ頭は自立!?

 認定調査では、調査員が集める情報の項目自体が減らされ、さらにその評価方法の基準も、軽い方へ誘導するようにガラリと変わりました。たとえば、「火の 不始末」「暴言・暴行」などの認知症の重要な項目を削除。「髪の毛の薄い人」は「手間がかからない(介助されていない)」とされ、「座っていられるか(座 位保持)」は、これまで「一〇分程度」だった時間の目安がたった「一分」に短縮。
 「介護の手がかかっているかどうか」の事実を重視するため、低所得者や独居・老老世帯では不利になる恐れもあります。民医連の一〇〇〇の困難事例で出た ような方(利用料が払えず受けたい介護も受けられない、家族が身近にいないため介助が受けられていない)という場合も「介助の事実がない」ので「介助され ていない」と判断されるというのです。
 一次判定は、コンピューターの判定がこれまで以上に重視されます。 二次判定(介護認定審査会)では、審査に出される資料や情報が大幅に減らされ、裁量 も縮小。「一次判定が機械的で問題があっても、二次で修正できるから」という厚労省の説明とは裏腹に、一次判定の結果を変更することが難しくなっていま す。

モデル事業・2割が軽度に

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厚労省に介護改善や、新認定システムの実施凍結を求める全日本民医連(3月27日)

 厚労省がおこなった三万件のモデル事業でも、民医連の指摘どおりの結果に。[要支援1]~[要介護5]まで、全体の二割が現状より軽い介護度に判定されました。また、民医連が実際の利用者さんをあてはめてみると、次のようになりました。
現在[要介護1]で独居の八〇歳…調査項目の「座位保持」「もの忘れ」を新基準で判定すると、[要支援1]に
現在[要介護2]で老老世帯の八八歳…介護サービス利用時の爪切りが介助とみなされないと[要支援1]に

介護サービスの制限に直結!

 介護度が下がれば利用者や家族には大問題。いまでさえ十分とはいえない介護保険で受けられるサービスが、さらに減るからです。また、[要介護1]の場 合、下がれば[要支援]という介護給付の区分になり、施設入所ができなくなるなどの影響が。[要支援1]が下がった場合は、[非該当]で、介護保険サービ スの対象から外されてしまいます。

 状態が変わらないのに、制度の変更で利用者に不利益がおこるとは。その上この内容は国民にほとんど知らされていません。
 民医連や家族の会など現場の批判におされて、厚労省は実施半月前に「修正」をしましたが、内容は依然不十分で、「見切り発車は許されない」と、民医連は実施の凍結を求めています。現在影響調査などをおこない、政府に修正を求める予定です。

いつでも元気 2009.5 No.211