認知症をわかりたい(4) ある日の「講座」をのぞいてみた 協力:京都市左京南地域包括支援センター
ほっと介護(85)
■認知症は全国に169万人存在し、20年後には倍増するとみられる病気です。認知症の人を見守れる人を増やそうという講座も各地でおこなわれていますね。このページでは、みなさんといっしょに、ある日ある場所でおこなわれた講座をのぞいていきます■
私たちは認知症とどうつきあえばいいのか。その気持ちに一歩でも寄り添うには? 実際に遭遇しそうな場面を、お芝居でご覧いただきましょう。
道に迷ったおばあちゃん の巻
〈場面〉道端にぼんやり立っている認知症のおばあちゃんがいます。外に出ているうちに、帰り道がわからなくなってしまったのです。季節は初夏だというのに、ずいぶん厚着…。
そこへ、買い物途中の顔見知りの女性が偶然通りかかって声をかけました。
女性:あらまあ、おばあちゃん、こんなところで何をしてはりますのっ!?
「ひとりで外に出たらアカン」ていわれてますやろ? この間も帰れなくなって、お嫁さんがずいぶん捜したの、忘れましたか? みんな忙しいんですよ~え えかげんにしてねえ。しょうがないから、私がお家まで連れ帰ってあげますワ。
それでまた、この暑いのに、こんな分厚い服を着て、何を考えてはるのやろナ。お嫁さんもたいへんやわあ、かわいそうやと思わはりませんか?
もう、おひとりで外出はだめですヨ。早く帰りましょ、さあさあ早く!
認知症のおばあちゃん:(女性から早口でまくしたてられ、手を引っ張られてオロオロする)
司会者:おばあちゃんがいま、どんなお気持ちなのか、きいてみましょう。
認知症のおばあちゃん:こんなに怒られて怖いし、悲しいし、自分が情けないです。何をいわれてるのか、わかりませんでした。どうしたらええのかしら?「忘れたらアカン」っていわれても、ムリなんですわ。
司会者:おばあちゃんは、なぜお外に行こうと思ったのですか?
認知症のおばあちゃん:家の中にいてもすることがないし、「ちょっとそこまで散歩して、お花でも見たら気持ちがスウっとするんちゃうか」と、思いましてん。
時間や季節感の感覚が薄れたり、方向感覚が薄らいで、迷子になったりするのは、認知症の症状のひとつ「見当識障害」です。見当識とは、現在の年月や時刻、自分がどこにいるのか? などの基本的な状況把握の力です。
あなた自身がこういう場面に遭遇したら? 考えてみてください。
迷子のお年寄りを発見
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いつでも元気 2009.4 No.210