後期高齢者制度 「見直し」いいながら天引き拡大、入院は短縮 うば捨て山行きバスは廃止だ!
「あのパネルの絵、テレビで見て、てっきり小池さんがつくったんだと思いましたよ」と八田久子さん(76)=東京葛飾区。
「舛添厚労大臣がつくったときいて、びっくりです。『行き先はうば捨て山かな』『早く死ねというのか』『料金も勝手に天引きされるし』という高齢者のつ ぶやき、その通りでしょ。舛添さん自身、悪い制度と承知してるんじゃありませんか。それなのに廃止にしないなんて、まったくあきれてしまいます」
舛添厚労相が作成した「75歳専用バス」の絵 |
数値目標決めて医療費削減
一〇月一五日、後期高齢者医療保険料の四回目の天引きがおこなわれた日、参院予算委員会でパネル(上の絵)を掲げて質問した日本共産党の小池晃議員。あきらかにしたのは、三点です。
上がり続ける後期高齢者保険料 |
■上がり続ける高齢者保険料
政府は「七割の人は負担減」というウソの宣伝を続けるばかりか、保険料が上がるしくみについては隠しています。
後期高齢者の保険料は、七五歳以上の人口が増えるにつれ、二年ごとに自動的に上がるしくみ。小池議員の試算によると、現在平均月六〇〇〇円の保険料が、二〇一五年には八〇〇〇円、二五年には一万三〇〇〇円、三五年には二万一〇〇〇円になります(表)。
■来年から住民税も天引きに
政府は、批判が多い年金天引きを「見直す」といいながら、実際には年金天引きの対象をさらに拡大しています。
この質問の日、扶養家族だった後期高齢者や六五~七四歳の国保加入者などが新たに天引きされましたが、さらに来年一〇月からは、六五歳以上の住民税も年金から天引きすることにしています。
口座振替もできるようにしたといいますが、実際にできたのはわずか二、三%の人だけ。高いハードルを設け、天引きをやめられない仕組みになっています。天引き拡大は、取る側の都合です。
■入院日数減らし、医療費削減
さらに九月に公表された「医療費適正化計画」は、五年間で七五〇〇億円以上の医療費を削減する計画です。入院患者の平均在院日数を三二日から二九日に短縮するという目標をあげて、各都道府県に算出させたものです。
「こういう数値目標を決めた削減は初めてだ。いまでも、入院したらすぐ退院の日取りの相談になる、行く当てがないのに、という嘆きの声があふれているときに、さらに入院日数を減らせと号令をかけて、都道府県に競わせる。とんでもない話だ」と小池議員。
「日本の医療は、国庫負担を削ったため国民健康保険の保険料が上がったなどの問題はあるが、三月までやっていた老人保健制度で、国民から困るという声はなかった。うば捨て山バスは廃止し、いったん元に戻すべきです」ときっぱり。
京都市に続き国政でもノー
一〇月三日、京都市議会は、政令指定都市ではじめて「後期高齢者医療制度廃止決議」をあげました。直前の補欠選挙で、吉祥院病院元職員の佐野春枝さん (共産)が自民党二世候補を大差で破って当選。自公と野党の議席が三三対三四と逆転し、実現したもの。「今度は国政ですよ」と吉祥院病院事務次長の森藤裕 明さん。
吉祥院エリア共闘委員会では毎週金曜日、JR西大路駅前で、宣伝行動を続けています。「患者さんから聞く切実な声は、もうまったなしです」といいます。
「七七歳になるが、生まれつき体が弱く、年金は月三万八〇〇〇円。そこから介護保険料五五〇〇円と長寿保険料を七五〇〇円引かれる、主人も年金は最低額。どうして生活すればいいかわからない」
「戦中戦後、苦労してきたのに、この年になって医療差別をされるとは。少ない年金から天引きされ暮らしもきびしく、物価は上がるばかり。後期医療は一日 も早くなくしてほしい。今年の夏は暑くて電気代も上がりっぱなし、節約すれば死んでしまう。年金を上げてください」…
「命にかかわる事態が進行していると実感しています。総選挙で、後期高齢者医療制度を廃止に追い込もう、今度はやれるとがんばっています」(森藤さん)
いつでも元気 2008.12 No.206
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