後期高齢者医療制度反対 東京で1万2000人の大集会
運動はこれからが本番です!
三月二三日、井の頭公園(東京)に一万二〇〇〇人が集まりました。後期高齢者医療制度の中止・撤回を求める東京大集会です。「いのちは平等、年齢による差 別は許さない」という集会決議を「いのち」の文字をかかげて確認しました(写真)。同集会三多摩実行委員長の都丸哲也さんは「運動はいまからが本番」と語 ります。
老人医療費が無料だった日本
集会三多摩実行委員長 都丸哲也さん(86) 1972年から4期16年間、東京・保谷市長。原水爆禁止東京協議会代表理事、非核の東京・自治体対策委員会責任者、日本AALA常任理事 |
四月一八日で八七歳になります。
東京は、美濃部さんという革新知事の
時代があり、私はその都政を支える仕事にどっぷり浸かってきました。一九六九年に全国に先駆けて七〇歳以上の老人医療費を無料化しました。「そんな制度を つくるな」という厚生省からの圧力にも屈せず実現し、この無料制度はどんどん全国に広がりました。七三年には国の制度となり、東京は六五歳以上にまで拡大 し、マスコミは「福祉元年」と評しました。
その後私自身、「美濃部都政をこの街に生かす」と保谷市(現在は西東京市に合併)の市長になり、福祉施策を数々やってきました。高齢者の誰もが何歳に なっても安心して生活できる社会が「高齢者社会」だと思います。美濃部都政は高齢者・乳幼児・障害者…「福祉施策はすべて東京からはじまる」といっても過 言ではないほど福祉行政をリードしました。
老人医療無料化から三一年目のいま、後期高齢者医療制度が出てきました。高齢者は税金食いの厄介者、という政策にはガマンなりません。無料化とは一八〇度違う発想ではないですか。
福田首相は「ここまで日本が経済成長したのは、国民のおかげ」と所信表明演説でいいました。その中核をなす人びとは七五歳前後の高齢者です。本気でそう 思うなら、高齢者に礼をつくすべきです。医者にも自由にかかれない、医療の質も落とす、療養ベッドを減らし、リハビリも制限など、高齢期の生存権を脅かす 制度、尊厳を認めない制度を導入するということは高齢者に対して無礼この上ないことで、「早く死ね」です。
高齢者人口1%の参加めざした
昨年の日本高齢者大会の大会アピールに「後期高齢者医療制度は『見直し』」という表現があったのですが「それでは手ぬるい」と意見がたくさん出て「撤回・見直し」に文言が変更されました。
三多摩に戻って話し合い「アピールを出すだけでは足りない、集会をして行動を起こそう」、「現役の労働者にもかかわる問題だから、メーデー規模にしよ う」と、労働組合にも声をかけました。当初は三多摩規模で考えていたのが、東京全体の規模に広がった。会場に予定していた公園では狭いと、毎年のメーデー で使っている井の頭公園が会場になりました。
この運動には著名人や自治会長など、共感や賛同が広がっています。三多摩では二六市のほとんどに高齢期運動連絡会があります。そこを中心に学習会や参加 の申し入れにとりくみました。自治体ごとの高齢者人口を調べ、三多摩では六五歳以上が七〇万人余、七五歳以上がその半分とわかりましたので、「高齢者人口 の一%に参加してもらおう」とめやすを持ち、色んな人が参加できるような集まりにしよう、とすすめました。
四月一日の実施直前の集会でした。 しかし集会の位置づけは「撤回させる運動の出発点」なんです。四月以降がたたかい本番だと考えているんです。
四月一五日に一回目の保険料の年金天引きがはじまる自治体があります。驚き、怒り、私たちに呼応する人が増えるはず。国会も動いて、野党四党が後期高齢者医療制度の撤回法案を衆院に出しました。
画期的なことをしている実感が
私たちに共感する人たちがいる半面、「もう通った法律だし、しょうがないのでは?」という声もあります。でも、総選挙は早晩あります。「衆院も参院のような力関係になれば、中止・撤廃の法案は通る。成功する」と話しています。
この後期高齢者医療制度の運動を通じて、主権者・納税者としての一票を生かせば自分たちの願う政治が作り出せるという確信を、多くの人が持てるんじゃないか。画期的なことをしているという実感があります。 (木下直子記者)
いつでも元気 2008.5 No.199