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いつでも元気

いつでも元気

全日本民医連評議員会から 「美しい国」より「憲法を実践する国」に

悪政から暮らし守る自治体をつくるチャンスだ

いっせい地方選挙、参院選挙で切実な要求実現を

 自公政権によって強行された医療・年金・介護・税制などの悪政が、とりわけ高齢者に大きな痛みを強いています。二月一七~一八日 に開かれた全日本民医連第三七期第二回評議員会では、民医連・共同組織の各地の奮闘が報告され、悪政の防波堤となる自治体をつくることの大切さが浮き彫り になりました。

 

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電動ベッドに助けられ懸命に起きあがる利用者のビデオが市長を動かした (06年9月8日、滋賀・大津市)

ベッド貸しはがし
実態ビデオ見て市が助成決める

 介護保険法改悪で、昨年一〇月から軽度の要介護者は電動ベッドが借りられなくなりました。電動ベッドなしでは起きあがることができず、生活が成り立たなくなる、寝たきりになるなどの問題が噴出。各地で自治体交渉にとりくみました。
 滋賀・大津市では、実態を知ってほしいと、市との懇談にビデオを持ち込みました。利用者が電動ベッドを頼りに起きあがるようすを見て、市側は「こんなに 重い人で介護度1か」とびっくり。いつもは「国のきまりです」一点張りの市職員に「これでも国のやり方が正しいと思うか」と聞くと「…」。この懇談で、一 週間後に予定していた助役との面会に、急きょ市長が出席することに。
 市長もビデオを見て、「一〇月には間に合わないが」と一二月議会で市独自のベッド貸与補助事業の予算を組むことを約束。映像が利用者の現実をリアルに伝え、行政を動かしたのです。
 さらに滋賀県も、二月から市町への補助メニューに加えることを決めました。低所得者を対象に、最高四〇〇〇円までのレンタル料の本人負担を半額にし、残りを県と市町が折半するしくみです。

脅かされる生存権
暮らしの困難にマスコミも注目

 沖縄民医連では、県内でとりくんだ「高齢者実態調査」の結果を記者会見で発表。会見当日、沖縄テレビとラジオ沖縄が放送し、翌日は地元新聞が報道しました。
 琉球新報の見出しは「高齢者の生活深刻」「苦しさ実感42%」(写真)。沖縄タイムスは社説でも取り上げ、その見出しは「これでは長生きできない」でした。
貧困の広がりを真摯に見つめる番組も生まれています。その一つがNHKスペシャル「ワーキングプア」。第二弾「努力すれば抜け出せますか」では、掛け持ち で働いてもギリギリの生活から抜け出せない母子家庭や、「いざなぎ景気」といわれる一方で廃業に追い込まれている零細業者などの姿が。「無年金。空き缶回 収しながら月四万円で生計を立てている老夫婦」は、京都民医連・上京病院と盛林診療所の患者さん。周囲で支えています。
 生活保護の老齢・母子加算の廃止、削減は、憲法二五条違反だ││京都から始まった「生存権裁判」は、いま全国でたたかわれています。

福祉削って開発に
おかしな政治の流れ変えよう

 国保料や住民税が昨年に続き、引き上げられます。昨年六月、納付通知が送られると、大阪市の区役所に問い合わせや抗議で一二万四〇〇〇人が殺到。ことしも同様の事態となりそうです。
 介護保険料、国保料の高さが、一五政令都市のうちでどちらもトップクラスという大阪市、堺市。国保の資格証の発行(保険証の取り上げ)が五年間で六・四倍にもなりました。 
 二月七日、大阪市淀川区で、病気で衰弱した夫を放置したとして妻が逮捕される事件がおきました。しかし生活苦で国保も昨年一〇月で切れていました。
 社会保障が切り捨てられる一方、破たんした巨大開発のツケに税金がつぎ込まれています。六三五億円かけて一度も使ったことのない夢舞大橋、六九五四億円 かけて埋め立てた「りんくうタウン」は一七年たっても分譲率四五%、最終赤字は一八〇〇億円に。必要のない関西空港の二期工事も続いています。
 この構図は全国同じ。東京でも石原知事は「福祉はぜいたく」といってバッサリ削り、オリンピックを口実に大規模開発のため毎年一〇〇〇億円を積み立てて います。しかも盲導犬のえさ代補助の年四六万円まで削りながら、一晩で数十万円の豪華会食を身内とくり返していることにも批判が高まっています。
 「おかしな政治の流れを変えよう」と民医連歯科医・吉田万三さんが都知事選に出馬表明。共感を広げています。

基地はいらない
国・自治体は住民の声を聞け

 米海軍横須賀基地への原子力空母の配備をめぐり、横須賀市民は「空母配備の是非」を問う住民投票で主権者の総意を明らかにしたいと、直接請求に必要な署名の約六倍、四万一五五一筆を集めました。しかし市議会は自民、公明、保守会派の反対で三一対一〇で否決。
 原子力空母は、万一原子炉の融解事故がおきれば、八〇〇万神奈川県民のみならず、首都圏三〇〇〇万人の命を脅かす事態となります。米国内の基地以外で、原子力空母が配備されるのは日本だけ。

医療福祉改善のたたかい
自治体が主戦場に

 全日本民医連・長瀬文雄事務局長の話
 「電動ベッド利用については、国も四月から制限を緩和することを決めました。全国で、これは実態に合わないと粘り強く運動した成果です。四月のいっせい 地方選挙は、国の悪政から住民の暮らしを守る自治体をつくるチャンスです。医療・介護・福祉などは、これからは自治体が改善のたたかいの主戦場になりま す。住民の声の届く自治体をつくりましょう。
 世界をみても、イギリスまでイラクから撤退計画を決めた。占領政策・先制攻撃政策を続ける米ブッシュ政権からきっぱり自立して、日本はいまこそ憲法を守 り実践する国づくりを進めるときです。七月の参議院選挙では、私たちの目指す国づくりを、大いに語っていきましょう」

いつでも元気 2007.4 No.186