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いつでも元気

いつでも元気

遺伝子の学習、おもしろいよ 班会訪問 畑でできない話もたっぷり

石川・南加賀健康友の会沢班

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シャバの話で盛り上がって

 小松空港から車で約三〇分。小松市沢町は、山間にある六〇戸ほどの集落です。ここに、一九八八年に発足し、元気に毎月班会をしている班があります。メンバーのほとんどが七〇~八〇代という「沢班」を訪ねました。

 班会の前に、まず血圧測定。血圧を計りながら問診をするのは、班の発足にかかわり、毎月講師を務める谷口堯男医師(寺井病院名誉院長)です。

 「脈、あるんかいな」「大丈夫、血圧もちょうどいい」「私はきょうは緊張して高めかも(笑い)」と和気あいあい。

 「沢町は無医村状態で、寺井病院の患者さんが二人いました。ぜひ、医療懇談会をしましょうと呼びかけ、班 を作りました。当初は健康知識も少なく、塩分をとりすぎていたり、栄養バランスもよくなかったのです。でも命と健康を守ろうという意識は強く、学習に熱心 でした」と谷口医師は語ります。栄養バランスの学習のなかで、生活習慣が変わり、塩分摂取量が減り、栄養バランスが改善されたといいます。

最新ニュースから海外の話題まで

 調理師の山口外喜子さん(寺井病院)の司会で班会がはじまりました。班会では、最初にいつも必ず「シャバの話」をします。

 「最近のニュースや自分の感じたこと、関心のあることなど、ここでは思ったことが話せます」と山岸恵子さん。唯一の五〇代です。母親の田中妙子さん、娘の山岸美緒子さん(老人保健施設・手取りの里職員)の親子三代で班会に参加しています。

 「シャバの話」では、ライブドア、耐震強度偽装、BSE問題など、国内のことからパレスチナ・イスラエルの紛争など、海外の話題まで出ます。

 最近集会で、ベトナム帰還兵の話を聞く機会があったという田中さんは、「戦争は人をおかしくする。絶対戦争はしてはいけないと思った」と話します。

 その話を受けて、坂本巴さんは『いつでも元気』2月号に掲載された、今も続くベトナムの枯れ葉剤被害についてふれ、「枯れ葉剤が日本にも使われる予定だったなんて、ショックでした」と。

産業廃棄物処理場が沢町に?

 沢町の話題にもなりました。班の「情報大臣」村中こんさんが「養豚場を経営していた会社がつぶれ、その跡 地に産業廃棄物処理場をつくると、町内会の総会のときに業者がきて説明をした」と話すと、「たくさんトラックが通って、危険だし排気ガスがまき散らされ る」「環境が荒らされる。沢だけの問題じゃない」「反対の声をまとめよう」と、運動を巻き起こす話し合いに発展しました。

人間の体って不思議

 沢班では、継続的に「遺伝子」の学習をしています。谷口医師が学習資料をわかりやすくシナリオ仕立てにし、楽しく学べる工夫をしています。

 「遺伝子の勉強は話を聞くとおもしろいけど、蕫ダーウィンの進化論﨟とか、覚えられへん」とぼやく清丸孝子さんに「全部覚えなくてもいいんだよ」と谷口医師。でも学習のたびに鋭い質問をするのは、実はこの清丸さんなのだそうです。

 「遺伝子の学習をしてると、人間の体って不思議だなあって思って」と清丸さんは笑います。

おかげで長生きしてます

 よほどのことがない限り、毎月ほとんどの人が参加するという班会。魅力は?

 「ここは遠慮しないでいろんな話ができるし、健康のことも学習できる。私は若いころからずっと畑仕事をしてきたけど、畑ではこんな話はできないからねえ。おかげで長生きしてます」と清丸さん。

 「栄養について学んでから、好き嫌いがなくなりました」という田中さん。

 「孫や子に政治的なことや、科学的なことも話すようになって、蕫どんな勉強してるの﨟と聞かれます」と坂本さん。

 みなさんの話を、うんうんとうなずいて聞いて、ときに疑問に応えるなど、班会を支える谷口医師は「この班に来て、年をとってからも人間、成長できることを学びました」と、移動の車のなかで話してくれました。

 今後、班でとりくみたいことを聞くと、口々に「ストレッチとか、少しからだを動かすことをしたいねえ」と。

 さすが! 心も体も元気です。

文・斉藤千穂記者
写真・酒井猛

いつでも元気 2006.4 No.174