私のまちのまちづくり 「支え合い」「助け合い」が原点 千葉・NPO法人健康友の会なのはな
焼き魚定食、中華丼、カレー、オムライス、うどんなどなどメニュー豊富なレストラン |
「本日のおすすめは刺身定食です」とレストランなのはな。 午前一一時をまわると、船橋二和病院の患者さんや家族、ご近所の人たちでにぎわいはじめます。
介護保険実施を契機に
レストランを運営しているのはNPO法人健康友の会なのはな(NPOなのはな)。千葉勤医協、千葉健生病 院や船橋二和病院の健康友の会、千葉県健康友の会連合会などが主体になって発足させたNPO(利益を目的としない組織)です。レストランのほかに売店(二 店)の運営、生活支援事業、生活支援のための移送サービスをおこなっています。
「運営主体も友の会ですが、生活支援の利用者も、みんな友の会員です」とNPO法人副理事長の酒井清さん(74)。友の会連合会の副会長です。
「NPOの前身は、実は蕫ヘルパーステーション﨟なのです。九九年に千葉民医連福祉委員会で、二〇〇〇年から実施される介護保険をどのような立場ですす めるかという問題提起がありました。千葉勤医協は高齢者福祉事業部を設置し、そこで在宅介護サービス事業を、友の会とともに進めていくことが確認されたの です。論議の末、勤医協のヘルパー養成講座を修了した人たちに協力してもらい、ヘルパーステーションを開設しました」
「助け合いが必要だね」と
「九九年四月に船橋市二和、六月に千葉市幕張でボランティア団体としてスタートし、二〇〇〇年にはNPO の認証を受けました。はじめは赤字でしたが、介護保険実施とともに前進し、事業としてなりたつようになり、〇四年三月、社会福祉法人千葉勤労者福祉会にヘ ルパー派遣事業を移行することができました。介護事業を移行したあと、助け合いの精神にもとづき、介護保険ではカバーできない生活支援を中心とした事業を おこなうことにしたのです」と酒井さん。
NPOなのはな理事長の高橋孝治さん(80)=共同組織全国連絡会代表世話人=は「生活支援が必要だな、と感じたのは友の会で毎年おこなっている高齢者 訪問のなかで。会員も年齢が高くなったなあ、一人暮らしもふえたなあ、草むしりも大変だろうなあ、でも少ない年金では費用もかけられないだろうし…。この ままここに住み続けるためには助け合いが必要だね、と。そこでまず利用希望の多い、自宅と病院の間の移送サービスを始めたんだよ」といいます。
「本当に助かる」の声
移送サービスは、二和と幕張の事業所でおこなっています。
「運転手は全員ボランティア。二〇人が登録しています。月一回、研修会をおこない、感じたことなどを出し合っています。サービスの利用は一カ月で延べ二 〇〇回を超えます。とくに透析者の希望が多いですね」と二和事業所の池田由美子さん。
「ボランティアなので、指定の時間に行ける人の確保に苦労します。約束を忘れた人がでた場合の代理の対応もします」と配車の調整をしている小泉輝子さ ん。幕張事務所の荒川利重さんは「幕張地区は道もせまく、一方通行も多い。タクシーにも断られることもあるので、蕫自宅まで送ってもらえるのは本当に助か る﨟といわれます」と話します。
ボランティアとはいえ、ガソリン代などの実費がかかります。安い利用料では運営も大変なのでは…。
「だからレストランや売店で収益だして、それを生活支援サービスにまわそう、ってもくろんだんだ(笑い)。だけどこの運営がなかなか大変だった」と高橋さん。
「オープン以来ずっと赤字でしたが、一〇月にようやく黒字になりました。ボランティアの協力のおかげです」と酒井さん。
いずれは高齢者住宅も
レストランも黒字になり、「たすけあいなのはな」の通称で会員や病院職員にも浸透してきたNPOなのは な。鈴木洋事務局長は「今後は会社をつくって収益部分を移して、そこからNPOに補てんをしていく仕組みにしようと。いずれは高齢者賃貸住宅をつくりたい と思っています」。「配食サービスもやりたいよね」と酒井さん。住み続けられるまちづくりにむけて、夢は大きく広がります。
文・斉藤千穂記者/写真・五味明憲
いつでも元気 2006.1 No.171