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いつでも元気

いつでも元気

作りました「患者の権利宣言」

安心・安全・納得の医療を求めて

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「患者の権利宣言」を掲げて。犀川三郎さん(右)と友の会員の藤井正弘さん(四ツ木診療所内で)撮影・若橋一三

東京・東都協議会友の会連絡会

 「私たち友の会は安心・安全・納得の医療を求めて、ここに患者の権利を宣言します」という前文ではじまる「患者の権利宣言」。ことし四月に東京の東都協議会友の会連絡会(旧健和会共同組織連絡会)が発表したものです。

医療事故をきっかけに

 「一昨年、みさと健和病院で医療事故がおき、原因究明、再発防止のため、病院は外部評価委員会に諮問し、 法人は第三者を入れて倫理委員会を設置しました。そんななかで、宮崎康健和会理事長から、“友の会独自に患者の権利委員会をつくって、患者の権利について 討議してみては”と提案されました」と東都協議会友の会連絡会会長の犀川三郎さんは振り返ります。

 宮崎理事長はこう話します。

 「患者さんの苦情受け付けとしては、院所利用委員会などがありますが、院所の立場にたって問題を解決していこうとしてくれる。それはそれでありがたい が、患者さんの側にたって受け止めてくれるところが必要ではないか、と。また、みさと健和病院では“病院憲章”を作りましたが、病院側から“権利を尊重し ます”というだけではなく、患者さんが自己決定できるベースのようなものが必要なのではないかと思ったのです」

共同の営みとして

 その提案を受けて、「これまで病気になったら“医師におまかせ”と考えていましたが、その考え方は、い ま、ふさわしくないのではないか。病気を治す主体は患者自身。それを手助けするのが医師。病気にたちむかうことは、患者と医師の共同の営みだということ を、きちんと患者自身が認識するには、患者の権利について討議していくことが大事だと思いました」と犀川さん。

 昨年一月に医療問題にくわしい弁護士を呼んで、友の会役員を対象に勉強会を行ない、四月に友の会世話人会で患者の権利委員会を発足させました。

 「メンバーは友の会一一人、職員は組織部員四人、ソーシャルワーカー二人、そして助言者として、患者の権利問題に造詣が深く、薬害問題などにも詳しい臨 床薬学研究所の小坂富美子さんに入ってもらいました」と犀川さん。

学習を重ね、討議を深め

 五月末に第一回の委員会を開き、ほぼ毎月一回のぺースで半年間「患者の権利」について学習を重ね、一二月 から「患者の権利宣言」づくり、そして医師とのコミュニケーションをきちんととるために「医師に伝えておきたいこと、聞きたいこと」などを出し合って整理 し、文章化してきました。

 「患者の権利宣言」は、「私たち患者には、人間として自分自身の尊厳を守る権利があります」「私たち患者には、平等な医療を受ける権利があります」「私 たち患者には自己の受ける医療と関連する内容について知る権利があります」など、八項目を宣言しています。

 また、「医師に伝えておきたいこと、聞きたいこと」は、▽初めて診察を受けるとき▽検査をすすめられたとき▽手術をすすめられたとき▽在宅での療養をす すめられたとき▽他の医療機関から、この医療機関に変更したときなどの一一項目をあげ、それぞれの留意点、考えておきたいことを記しています。

 討議の課程で、「患者本人が真実の病名をきちんと知ることは大切だが、どうしても本当の病名を知りたくない場合もあるのでは」との意見も出され、その場 合についてもどうするかを検討し、追加しました。こうして、委員会や友の会世話人会での決定、修正・追加を経て、ことし四月五日に委員会で最終的に承認さ れ、発表しました。

今後の課題として

 「この“権利宣言”は三万部印刷し、友の会の機関紙に折り込んで配布し、院所の窓口にもおきたいと思います。大きな額入りのものも作成中です。ぜひ院所の待合室にかかげてほしい、また“患者の声をいかした信頼される医療”をしてほしいと、法人には申し入れました。

 今後は友の会や患者さんや地域の人たちに“患者の権利”について広めていき、権利委員会が相談や要望をとりまとめたり、アンケートをとったり、将来的に はオンブズマン的な役割をもちたいと思っています」と犀川さん。
文・斉藤千穂記者

いつでも元気 2004.8 No.154