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ニュース・プレスリリース

民医連事業所のある風景 東京/千住介護福祉専門学校 創立14年 日本人学生と外国人留学生、ともに学び育っていく ~だれかのちからになること、それが私のちからになる~

 テレビドラマ「3年B組金八先生」の舞台としても知られる足立区・千住は、かつて日光・奥州街道の宿場町として栄えた街です。隅田川と荒川に囲まれたこのエリアは、老舗商店、銭湯、千住火力発電所の煙突(通称「お化け煙突」)モニュメントなど古き良き時代のものとともに、大型商業施設などの新しいものが融合し、発展してきました。日本国内乗降客数でベスト10に入る北千住駅から徒歩10分のところに、千住介護福祉専門学校はあります。「住み慣れた地域で、最期までその人らしく生きる」ことをかなえる介護福祉士を育ててきました。
 はじまりは戦後まもなく誕生した柳原診療所でした。医療過疎の地域に医師や看護師が飛び込んで、訪問診療、訪問介護、デンマークから取り入れた福祉用具の活用など、住民と力を合わせて、今では当たり前になっている地域ケアのモデルを作り上げてきました。その後、生活全体を支える介護福祉士の養成を目指し、地域の人々にもご協力いただき千住介護福祉専門学校が誕生しました。1学年定員40人、2学年合わせて80人の小さな学校です。

卒業生の活躍が楽しみ

 2008年の第1期生が入学してから14年。民医連事業所で介護福祉士として働くも、理論や技術、介護観をあらためて千住介護福祉専門学校で学びたいと入学した学生など、計254人の卒業生が巣立っていきました。卒業して数年、フロアのリーダーや実習指導者、ケアマネジャーとして活躍する人や、自身で法人を立ち上げて介護事業所を運営する人など、卒業生それぞれの活躍を耳にすることが、教職員の楽しみとなっています。
 介護福祉士のカリキュラムには、「介護」「こころとからだのしくみ」「人間と社会」「医療的ケア」の4つの分野があります。さらに今年度から新カリキュラムがスタートし、リーダーシップやフォロワーシップを学ぶ「チームマネジメント能力を養うための教育内容」が拡充されるなど、あらためて介護福祉士の役割が重要視されています。

人として心が豊かな介護福祉士に

 ただ知識をつめ込んで介護福祉士国家試験に合格したり、オムツ交換が早くできれば良い介護福祉士というわけではありません。社会の矛盾や、辛い思いをしている大勢の人がいると知ることで社会を見る目を変え、他者を敬う、自分を大切にする、違いを認め合うなど、人として心が豊かな介護福祉士になってほしいと考えています。講義では生活保護、憲法25条と朝日訴訟、日本型雇用とワーキングプアなど社会の現状を学びます。校外学習で東京大空襲・戦災資料センターや国立療養所多磨全生園(ハンセン病療養所)へ行き、語り部の方のお話を聞き、涙を流すこともあります。戦争とは? 人間の尊厳とは? 幸福とは? 自分を知り、どうすればより良い社会に変えていけるか、そのために自分は何ができるのかを2年かけて学んでいきます。
 4月の入学時に「2年後の自分へ」という手紙を書きます。卒業式を迎えるころには、2年前に想像していなかったくらい成長した、立派な介護福祉士として社会へ旅立っていきます。全国の民医連事業所で大活躍できることを、私たちは願っています。
千住介護福祉専門学校 教務主任 稲垣伸洋)