民医連事業所のある風景 神奈川/清水ヶ丘セツルメント診療所 まず診る・援助する・何とかする …先代の意志を継承する診療所
セツルメント活動の精神・歴史を引き継いで
当診療所は、1953年に横浜市立大学社医研に「セツルメント準備委員会」が設立したことを嚆矢(こうし)とし、翌年の1954年に開設された半世紀以上の歴史がある診療所です。
前所長の井上憲治医師は、横浜市立大学の医学生時代に当診療所の「学生ハウス」に通った「セツラー」であり、その後は青森民医連でご活躍された後に、ご縁があって当診療所に所長として着任されました。この背景には、同じく清水ヶ丘診療所で学生時代にセツルメント活動をした仲間であった前理事長の川崎博通先生との強い絆がありました。また、現管理師長である吉成一美師長も看護学生時代にセツルメント運動を経験されており、時代は変わっても学生セツルメント活動の精神、歴史を引き継いだ診療活動をおこなうべく、日々邁進しています。
現所長の石塚眞一医師は井上憲治医師と同じ大学の後輩にあたり、前所長の診療活動を継承、発展させるべく日々奮闘されています。また、当法人の元理事長である川崎博通医師が、週1回、外来診療をおこなっています。川崎医師と石塚医師は同じ大学出身でともに外科医という師弟関係にあり、ここにも今までに培ってきた民医連医療の志を継承する姿があります。その背中は診療所職員の精神的支柱であり、医療・介護・福祉活動の羅針盤となっています。
診療の質、サービスの向上
当診療所は2018年9月に電子カルテを導入し、診療活動の幅が広がりました。「年間検査計画システム」を採用し、来院された患者さん一人ひとりの年間検査計画を職員全体で共有し、診療所全体で患者の全身管理に努めています。
また「予約優先外来」を設けました。当診療所は1診体制のため、予約時間を設定して来院する時間帯を分散することで待ち時間の軽減を図っています。「2019年度の診療所アンケート」では8割を超える患者さんが「待ち時間の減少を実感できた」と回答をしています。
民医連医療の実践にむけて
日常の診療活動のなかで診療所職員が一丸となって医療活動を実践するために、昨年の職場会で力を入れたのは『学習ブックレット 民医連の綱領と歴史』の読了でした。毎月の職場会で読み合わせをおこなうにあたり、毎月担当者を決め、「自分がどのように読み解いたか、何を感じたか、日常の診療活動にどのようにいかせるのか」というテーマを設けて発表する学習形式にしました。
また職場会でとりくんでいることを日常診療に結び付けるために「気になる患者さん訪問」にもとりくんでいます。朝礼や職場会で該当患者さんを共有して、看護師・事務をペアとして訪問しています。
患者層や利用者さんの高齢化にともない、バリアフリーや待合スペースの拡大による診療導線の安全性の確保など、「利用しやすい、患者さんに優しい診療所」となれるよう、法人内でリニューアルのための準備をすすめています。
現在の診療体制は、前所長の井上憲治先生、前管理師長の竹内すづ子師長が歴任された先人の志を継ぎ、発展させてきた経緯があり、それを石塚眞一所長、吉成一美師長が継承することで地域住民の方々から必要とされる診療所として診療活動を続けています。所長、師長を支えながら職員ともども「何のために、誰のために」という気持ちを大切にした医療活動を継続・発展させていきたいと思います。
(清水ヶ丘セツルメント診療所 事務 川口 祐樹)