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ニュース・プレスリリース

3000万人署名をすすめるためのQ&A

2017年12月 全日本民医連国民運動部事務局作成

Q1 安倍政権がねらう9条の改憲は、どのようなものですか。
A1 日本国憲法の第9条の1項・2項は残したまま、自衛隊を書き加える案がもっとも有力とみられています。これは、2017年5月3日の憲法記念日に、安倍首相が読売新聞紙上などで表明したものです。

<参考>日本国憲法    第9条
第9条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
※数字がありませんが、「日本国民は…」というのが1項です。

Q2 自衛隊は、災害救助等でも活躍しています。その自衛隊を憲法に書き込むだけなら、問題ないのではないでしょうか。
A2 自衛隊を書きこめば、憲法の性格は180度変わります。
 いまの自衛隊は、2015年に強行採決・成立させられた「安保法制」(戦争法) によって、海外での武力行使を容認された存在です。その自衛隊を憲法に書き込め ば、自衛隊の武力行使にお墨付きをあたえることになります。「戦争してはいけない」という憲法が、「戦争していいですよ」という憲法に変わってしまうのです。
 そもそも、自衛隊は、災害救助を目的につくられた組織ではありません。自衛隊が海外の戦争に出て行くようになれば、国内の災害救助活動も縮小するでしょう。

Q3 1項・2項が残されるのなら、自衛隊が海外で戦争をするようなことにならないのでは。
A3 そんなことはありません。自衛隊が書き加えられれば、1項・2項は、戦争の歯止めとしての役割を失います。
 法の世界では、「新しく書き加えた条文と古い条文が矛盾するときは、新しい条文が優先する」という原則があります。これは世界共通の原則です。つまり、1項・2項が残っていても、新しく書き加えられた自衛隊の条文が優先されます。
 1項・2項に対する国民の信頼には大きなものがあります。これを削除しようとすれば、国民の反発も大きくなるでしょう。だから安倍首相は、改憲をしやすくするために、形だけ残そうとしているのです。「1項・2項は、残るから大丈夫」と見せかけ、実際は、1項・2項を削除したのと同じ憲法に変わってしまうのです。

Q4 自民党は、憲法に緊急事態条項が必要だと言っています。大規模災害に備えるためにも必要だと言っていますが、本当ですか。
A4 災害の対応に緊急事態条項は必要ありません。災害による緊急時の法整備はすでにおこわなれています。不備があるなら、さらに法整備をすすめればいいだけです。
 
災害時における対応は、災害対策基本法に定められています。内閣総理大臣、都道府県知事、市町村長などの権限も具体化されています。
 緊急事態条項が必要だという人たちは、「東日本大震災のとき、ガソリン不足で緊急車両が走れなかった。だからガソリンの買い占めをふせがなければならない」などと言います。しかしそのような事実は確認されていません。被災地3県にある36すべての消防本部が「ガソリン不足で緊急車両が出動できなかった例はない」としています(2016年3月、当時の土屋正忠・総務副大臣が国会で答弁)。
 同じく東日本大震災のときに、「こわれた家屋や車両があっても除去できなかった、だから緊急事態条項が必要だ」と主張する人たちがいますが、これもウソです。災 害対策基本法第64条は、市町村長の権限として「災害を受けた工作物又は物件で  当該応急措置の実施の支障となるものの除去その他必要な措置をとることができる」としています。この「工作物」にこわれた家屋・車両などが入ります。

Q5 北朝鮮のミサイル発射や核実験が心配です。日本が攻撃される場合にそなえて、緊急事態条項が必要だとも言われていますが。
A5 緊急事態条項は、北朝鮮に対するそなえにはなりません。北朝鮮問題の解決と緊急事態条項の有無は関係ありません。
 北朝鮮が日本をねらうつもりなら、発射から数分で日本に到達します。発射されたミサイルを打ち落とす技術は、現段階で、世界のどこにもありません。ミサイル発射や核攻撃に「備える」以前に、「攻撃させない」対話=外交努力が必要です。
 いったん戦争になれば、想像を絶する被害が出ます。たとえば米朝戦争がおこれば、初日だけで朝鮮半島の100万人以上が犠牲になると言われています。このような甚大な被害を防ぐには、対話しかありません。日本政府は、「対話のための対話など必要ない」と言ったり、北朝鮮への軍事攻撃を選択肢に入れているトランプ大統領を支持したりしていますが、このような日米両政府の姿勢は、軍事的な緊張を高め、いつ戦争が起こってもおかしくない状況をつくりだすもので、非常に危険です。自衛隊員の命を犠牲にしないためにも、対話が必要です。

Q6 結局、安倍政権は、なぜ憲法に緊急事態条項を新設しようとしているのでしょうか。
A6 戦争する国づくりをすすめようとすれば、国民の反対をおさえつけ、権力の意向で「何でもできる」ようにする必要があるからです。
 緊急事態条項というのは、「緊急事態」を理由にして、政府や行政、自衛隊などに権限を集中させ、私たちの人権や民主的な政治のしくみなどを停止させる条項です。
 自民党の改憲草案(2012年)では、98条と99条が「国家緊急事態」にあてられています。98条では、内閣の決議にもとづいて、内閣総理大臣が緊急事態を宣言することになっています。その宣言は、「我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱、地震等による大規模な自然災害その他の法律で定める緊急事態において」宣言できることになっています。「社会秩序の混乱」など、定義もあいまいな上、法律でいくらでも緊急事態の定義を拡大できます。
 改憲草案では、宣言の期間も最長100日と長く、何度でも更新できます。緊急事態が宣言されている期間は、衆議院は解散されないなど、選挙をおこなわなくてもすむようになっています。さらに内閣は、国会にもかけずに、法律と同じ効力を持つ「政令」を出せます。
先述の改憲草案では、内閣総理大臣は、財政支出を自由におこなうことができ、都道府県知事や市町村長などに直接「必要な指示」を出すことができます。そして「何人も、(中略)国その他公の機関の指示に従わなければならない」とされています。異論をとなえたり、国や自治体のやり方に抗議するということ自体がゆるされません。
 このような緊急事態条項が憲法に書きこまれたら、「国民主権」「戦争反対」をとなえただけで逮捕された、戦前のような独裁政治の復活につながりかねません。

Q7 改憲が発議されても、国民投票で否決すればいいのでは。
A7 改憲に関する国民投票法(「日本国憲法の改正手続に関する法律」)は、改憲のハードルが異常に低く、改憲派が有利になるようにつくられています。改憲をストップさせるためには、発議そのものをやめさせ、国民投票に持ちこませないことが重要です。
 第1に、この国民投票法には、必要な投票数の定めがありません。極端な話、有権者全体の20%しか投票しなくても、投票は成立します。その過半数=10%強の人たちが改憲「賛成」に投票すれば、改憲可能です。国と国民の将来に関わる重要な国民投票で、どんなに投票総数が少数でもよいというのは深刻な問題です。
 第2に、国民投票法には公職選挙法のような制限が少ないかわり、資金力にモノを言わせた運動が可能です。たとえば、テレビやラジオの有料意見広告は禁止されていません(投票2週間前のみ禁止)。財界団体の経団連は、憲法に自衛隊を書きこむ改憲を支持しています。経団連傘下の大企業などが資金を使って、改憲賛成のテレビCMを大量に流すことも考えられます。
 宣伝カーやリーフレットなどによる宣伝も、資金力のある方が有利です。改憲に反対する私たち市民運動の側と、彼ら財界との資金力の差は歴然としています。お金の差が国民投票を左右する可能性は大きく、だからこそ、改憲発議の前に断念させることが必要です。

Q8 なぜ今回の統一署名は3000万人分が目標なのですか。
A8 この間の国政選挙の投票率をもとに計算した数字です。3000万人分を集めることができれば、改憲阻止の大きな力になります。
 日本の人口は1億2000万人。そのうち、有権者の人口は約1億人と言われてい ます。近年の国政選挙における投票率は、50%~60%程度で推移していますから、単純計算で投票総数は投票率60%なら6000万人。その半数で3000万人です。仮に国民投票に持ちこまれたとしても、署名してくれた3000万人が改憲に反対す れば、改憲を阻止する大きな力になります。また、3000万人もの署名を国会に提 出できれば、発議を断念させる力にもなるでしょう。
 3000万人もの署名をあつめるには、職員や共同組織、家族・友人・知り合いはもちろん、従来おつきあいのなかったような人たちもふくめて、署名を訴えることが必要です。民医連の目標は300万人分です。改憲阻止のためにがんばりましょう。

以 上

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